日本の漁業は崖っぷち

2014年2月3日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 2013年のサンマの水揚げは14.8万トンでした。水産業界紙では「14年ぶりの不漁」と水揚げの減少が強調されていました。確かに過去10年間の平均25万トンを大幅に下回り、近年のピークだった2008年の34万トンの半分以下の数量にとどまりました。水揚げ数量が例年になく少なかったのは事実ですが、果たしてこれは漁業者にとって本当に厳しい結果だったのでしょうか?

大漁で単価下落、供給過剰にも

 2012年と比較すると、2013年の水揚げ数量は32%の減少でした。しかし、単価が95%も上昇したために、水揚げ高は230億円となり、前年比で36%も上昇しているのです。釣り大会であれば、たくさんの数を釣った方がよいでしょう。しかし漁業者にとっては、経済的な面からすればたくさん獲って単価が下がるより、少ない量でも水揚げ金額が多い方がよいはずです。

 先に述べたサンマは、近年の漁獲量のピークが34万トンで、その漁獲高は231億円です。14年ぶりの不漁と言われている2013年と近年のピーク時とは、ほぼ同じ水揚げ金額なのです。水揚高=数量X魚価です。たくさん獲っても単価が安くなれば、肝心の金額は増えません。

 それどころか、処理能力を上回る水揚げが続いて休漁したり、流通段階で供給過剰により相場が下がり、水産加工業者、荷受業等が損失を出したりと混乱を招くだけでなく、経済的な損失が随所で発生していたります。消費者にとっては、安く購入できることになるのでよい面はあるのですが、大漁で供給過剰となり「またサンマか!」となってしまっては、獲られたサンマも浮かばれません。

いい加減な日本のTAC

 図1は、2000年からの水揚げ数量と金額をまとめたもの(1~12月)です。これを見てお分かりの通り、数量が多いからといって必ずしも水揚げ金額が多いわけではありません。近年で最高の水揚げ金額は、2000年の331億円、第2位は2002年の328億円ですが、ともに、これらの年度は、上記過去10年の平均水揚げ数量の25万トン以下であることに注目してください。

 日本の場合、漁業で成長している国々とは異なり、TACが実際に漁獲可能な数量より大幅に多く設定されています。これではTAC(漁獲枠)=漁獲量ではないため国内外であてにされない上に(図2参照)、全ては漁模様次第で大漁祈願という状態です。2013年度もTAC33.8万トンに対して消化は14.8万トンと半分以下。これではTAC自体が信頼されませんし、価値もありません。

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