日本の漁業は崖っぷち

2014年1月8日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 FAO(国連食糧農業機関)から2013年の世界の水産物需給の見通しが発表されました(表参照)。それによると世界の水産物総生産量は、前年予想比2%増の1億6000万トンとなり、11年連続で過去最高を更新する見通しです。内、漁業生産は9000万トンと前年比0.6%の微減ですが、養殖は7000万トンと前年比5.4%増となっています。養殖については1961年以来一貫して成長を続けています。

 総生産量の内、食料向けは4%増の1億4000万トン、餌向けは3%減の1560万トンです。単価が安い餌向けの生産を少しでも減らし、高い食用を増やしていこうとする漁業者の意向がはっきりと表れています。

世界の流れに逆行する日本

 日本の場合は、最も漁獲量が多い魚種の一つであるサバで、2011年、2012年と食用比率は僅か7割程度である一方、価格が安い餌用の比率は約3割もあります。ノルウェーの場合は、2011年、2012年そして2013年も価格が高い食用比率は99%以上です。当然2014年以降も同様の見込みです。日本は漁業で儲かっている国々と異なり、漁業者が競争して獲るやり方であるため、分かっていても価値の低い魚を獲らざるを得ない仕組みになってしまっていることが問題なのです。

 成長すれば価格が高くなるサバを3割も餌にするというのは、日本がサバを輸入しているような国々にとっては理解できないことです。1990年前半頃までは、ノルウェーサバもアジも、マーケットが今のように大きくなかったので、一部はフィッシュミール向けにもされていました。しかしそれは、すでに20年以上も前の話です。

 世界の水産物年間消費量に関しては、一人あたり前年比2.8%増、平均19.7kgと増加を続けています。1961年当時人口30億人の時に9.0kgだった消費量が、70億人を超えた現在で一人当たり19.7kgですので、水産物の消費量の増大が巨大であることがわかります。

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