チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年2月10日

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有本 香 (ありもと・かおり)

ジャーナリスト

企画会社経営。東京外国語大学卒業後、雑誌編集長を経て独立。近年とくに中国の民族問題の取材に注力している。『中国はチベットからパンダを盗んだ』(講談社)『なぜ、中国は「毒食」を作り続けるのか』(祥伝社)の他、近著に『中国の「日本買収」計画』(WAC BUNKO)がある。

 12月末に拙稿前篇が掲載された後も、「歴史認識」をネタとした中国・韓国の日本攻撃は沈静化するどころか、烈しさを増す一方である。その「戦場」は東アジアから欧米、世界50カ国へと広がり、とうとう国連の安全保障理事会の場にまで及んだ。中国の国連大使は、わが国総理を呼び捨てにして批判するという非礼の挙に出、この非難攻勢に、あろうことか北朝鮮の大使までもが加勢する事態となっている。

 このとき中国は、安倍総理の靖国参拝について、「反ファシズム戦争の勝利と、(第二次大戦の)戦後の国際秩序に対する挑戦だ」と非難したが、「反ファシズム戦争の勝利」とは、戦勝国、とくに米国が、第二次世界大戦の正当性をアピールする際に使う言葉である。

 「人類の敵であるファシストを倒し、ファシズムを終わらせるための正義の戦い」。この言葉によって、米国が犯した人類史上最悪の「人道に対する罪」といっていい広島、長崎への原爆投下も、それに次ぐ悪行と思しき東京、大阪など日本の都市への無差別爆撃も、すべて正当化されているのである。

中韓の「歴史カードによる日本叩き」

 古今東西を問わず、またわれわれの好むと好まざるとにかかわらず、歴史は勝者によって作られる。まさに勝てば官軍という理屈だ。中国・韓国が、日本への「歴史攻撃」――史実をねじ曲げてまで行なう悪質な攻撃――を止めない最大の理由はここにある。

 共産党が統治する現在の中国、大韓民国という二国はいずれも、第二次大戦時にはこの世に存在しなかった国家である。当然、日本は中華人民共和国とも、韓国とも戦った事実はない。それどころか当時、朝鮮半島は日本が統治しており、朝鮮の人々は日本国民として連合国と戦った同胞であった。ゆえに靖国神社には、戦後「戦犯」とされた人を含む多くの朝鮮半島出身者が祀られている。

 ところが、韓国側のいう「正しい歴史認識」のなかでこの基本的事実は無視され、近年はより激しく歪められてもいる。一方、日本においても「朝鮮半島の人々はかつて同胞だった」という事実を忘れてか知らずか、低次元な「嫌韓」にひたすら励む人々もいる。日韓両国において、正しい歴史認識どころか、歴史認識の倒錯が起きていることは両国の国民にとって大きな不幸といえよう。

 中国、韓国の二国は、戦後の「官軍」のご都合により、「戦勝国」の一員であるかのような立場を与えられた。そのため戦後70年近くたつ今日でも、日本をやり込めたいとなればいつでも、「勝ち組仲間」の米国、欧州の国々に同調を呼びかけ、「歴史カード」で目一杯、日本を叩きのめすことができると思っている。これまさに戦後レジームの一端である。

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