世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月21日

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 2月8日付け仏ル・モンド紙は、ソチ五輪開催を機に「プーチンは表彰台に値しない」と題する社説を掲げ、ソチ五輪は、ロシアの威信をかけプーチン大統領が開催を強硬に推進してきたものであるが、プーチンの外交政策、経済政策は賞賛に値しない、と論じています。

 すなわち、2月7日、プーチン政権のもとで、歴史的・愛国的な華々しい雰囲気の中で、冬季五輪は開幕した。五輪を開催するというロシアの選択は、良案である。

 ロシア人はお客を歓待するし、寒さ、サウナ、屋外そしてすべての接待の文化を持っている。彼らは、五輪成功のためには、何でもする。選手たちは、試合会場や選手村に満足だと言う。実際、コーカサス山脈はとても美しい。ただ、ほとんどの競技が氷や雪の上で行われる五輪の開催地に、なぜ亜熱帯の地域を選んだのだろうか。

 国家エゴを誇示する場になってしまった五輪に関し、その払うべき対価を考えてみよう。

 そのコストは膨大である。まず金銭的には、ロシア人は、ソチのために370億ユーロ費やした。これは、2年前のロンドン五輪の4倍である。更に、環境と人的コストもある。引越しを余儀なくされた村民たち、高速道路のために破壊され、荒らされた景観、そして沈黙するよう圧力がかかった「緑の」活動家たち等。

 が、ソチの場合も、ロンドンや北京と同様のことがある。それは、開催国の名誉が五輪にかかっている、ということだろう。ソチの場合には、ロシアの名誉というよりも、強大な権力を誇る大統領、プーチンの名誉だろう。

 プーチンは、ソチを、彼の支配の完成、政権の勝利、そして大国への復帰の場としたかった。しかし、対照的にも、ソチは、プーチンが望んだ力ではなく、弱点を内外に示すことになった。2月7日に開催式を行った五輪スタジアムの炎は、ロシア経済の惨めな状態を隠すことは出来なかった。

 地元でほぼ唯一の輸出産品である炭化水素の値段が最高値であるにもかかわらず、ロシアの経済成長は停滞している。2013年は約1%で、2014年もたいして良くはならないだろう。

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