北米でヒットする日の丸スマホ
京セラ 携帯電話「ハイドロ」シリーズ

能原 隆さん (通信機器関連事業本部マーケティング部長)


池原照雄 (いけはら・てるお)  ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

ヒットメーカーの舞台裏

どんな不況でも、次々と誕生するヒット商品。気になるあの商品は、いったいどのようにして生み出されたのか。舞台裏の開発秘話を丹念に追い、開発者たちの生きざまに迫ります。

»最新記事一覧へ

ガラケー(ガラパゴス携帯)などと揶揄される日本メーカーの携帯電話事業だが、京セラは北米で健闘している。スマホ(スマートフォン)機種の本格展開として2012年8月から「ハイドロ」を投入、13年10月までにシリーズの北米累計出荷が300万台を突破した。京セラの携帯電話事業は、13年度の世界出荷が前年度を9%上回る1200万台規模となる見込み。北米では韓国サムスン電子、米国アップルなどに次いでシェア4位(13年1~9月)につけている。世界出荷の7割を占める北米向けの好調が販売増を支える。

堅牢さがウリの「ハイドロ」シリーズ

 ハイドロシリーズは初号機から高い防水性能を訴求した。ハイドロは「水の」という接頭語であり、商品名でもストレートに特徴を表すようにした。電気製品の防水に関する国際規格に合致させ、機種によっては「水深1メートルで30分水没しても耐えられる」といった性能を確保している。13年からは、京セラ独自の音声伝達方式である「スマートソニックレシーバー」の採用や、本体落下時などの耐衝撃性を高めた機種もシリーズ展開した。

 スマートソニックレシーバーはスマホの液晶パネル全体を震わせ、音と振動によって音声を伝える機構であり、受話用の従来型スピーカーはない。街の雑踏や工事現場など、通常の携帯電話では聞き取りが困難な環境でも、本体パネルを耳に押し当てれば、余程の大騒音は別として通話に支障はない。ピエゾ素子(圧電素子)という電圧の変化によって伸縮する自社の電子部品を活用して開発した。

 このようにして、ハイドロは水をかぶったり、騒音があったりする厳しい環境でも使える「堅牢なスマホ」としての個性を確立していった。一般向けのほか、ヘルメットを被った状態でも通話できるため各種現場用に、また聴力の衰えた高齢者やアウトドアレジャー向けといった用途でも支持を獲得している。

1
nextpage
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
「ヒットメーカーの舞台裏」

著者

池原照雄(いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

WEDGE Infinity S
ウェッジからのご案内

Wedge、ひととき、書籍のご案内はこちらからどうぞ。

  • WEDGE
  • ひととき
  • ウェッジの書籍