中国メディアは何を報じているか

2014年2月27日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 中国軍の著名な教授がトンデモ発言をしてネットが炎上している。中国国防大学の張召忠教授がテレビの解説番組で「米国のレーザー兵器に対しPM2.5は恰好の防御になる」と発言したのである。

「濃霧があれば射程はたった1キロ」

 共産党機関紙『人民日報』系統の『環球時報』サイト『環球網』は早速、この発言を取り上げて淡々と報道した。とはいえ、教授の無神経な発言への抗議の意味もあったのだろう、「米のレーザー兵器は濃霧を恐れる 高濃度PM2.5を撃ち抜くことはできない」と題してテレビ画像のテロップ付き写真を掲載する形で張教授を晒し者にしている。

 さらにサイトにはコメントが残せるようになっており、サイトにこの記事が載せられてから15時間ほどで千件近くのコメントが寄せられ(現在、コメント欄は消去されていて見られない)、別のサイトの動画はわずか5日の間に73万回も再生されるほどの反響を引き起こした。また内容評価は212票の「ウレシ~(喜悦)」というものもあったが、「お笑いだね~(可笑)」が1200票とダントツトップだった。

 以下ではテレビのコメントを再現する形でこの記事を紹介しよう。

* * *

【2014年2月22日『環球網』(抄訳)】

 張召忠教授が中央テレビの番組「海峡両岸」(中国と台湾の問題を扱う解説番組:筆者)で濃霧(原文では「霧霾」、もやという意:筆者)が米国のレーザー兵器に対して恰好の防御となると述べた。張教授の分析によると、米軍のレーザー兵器は劣勢にあるという。濃霧がなければレーザー兵器は射程10キロにもなるが、濃霧があればたった1キロなのだという。こんな兵器が使い物になるのだろうか、と張教授は言う。

(以下、張教授の発言)

 レーザー兵器にも弱点もあります。濃霧すなわちレーザー兵器への恰好の防御であり、レーザー兵器が最も恐れるのが濃霧です。濃霧がなにか、その構成をみると細かい金属粒子があり、この金属微粒子が空気中を漂っていれば、レーザー光線を撃ち抜けるでしょうか?

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