2024年11月24日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年3月21日

 最大の障害は国内世論で、ドイツ人の62%はドイツ軍の海外活動の拡大に反対している。しかし、ガウク大統領も言うように、「ドイツには本当の平和主義者もいるが、ドイツの過去の過ちを利用して、怠惰あるいは世界への関与からの逃避を隠蔽している人々もいる」、と述べています。

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 上記解説記事は、ドイツが今までの遠慮を離れて積極的外交に転じる可能性を示したものです。

 ここで挙げられている例は、欧州での東方政策の推進であり、東欧に対するドイツの発言力の増大に対するフランスの支持を得るための代償として、西アフリカへの積極的関与です。そして、よりグローバルな戦略の観点からは、アジアにおいて、中国の勃興に対する政策であり、具体的には、ASEAN、日本との協力関係の増進です。

 より端的に言えば、米国の、あるいは自由民主主義諸国の、地球規模の戦略に、ドイツも積極的に参加するということとなります。

 それは、敗戦以来70年近く、ドイツ周辺以外のことへの関与は遠慮して来た姿勢から一転して、ドイツの国力に見合った国際的役割を果たす用意があるということです。そして、それは、アメリカの世界政策の一部として協力する用意があると言うことを示唆するものでしょう。

 しかし、現在のオバマ政権の世界戦略は混迷していて、ドイツが新しい役割を担うと言っても、それを受け入れる用意がないかもしれません。しかし、状況の変化によっては、――現にウクライナ問題があり、また、近い将来には増大する中国の軍事力に対する戦略の構築の必要性があり――国際政治へのドイツの参加は、自由民主主義国側としては、時宜を得たものとなる可能性があります。

 それは、安倍政権下で日本の国際的役割が増大しつつあることの後追いのような現象となるかもしれません。

 現在、ヨーロッパでは、フランスは安倍政権の動向に注目して、日本に近づいていますが、あるいは、近い将来に、ドイツも日本の、あるいは日米同盟の、パートナーとなる可能性もあることを、上記記事は示唆しています。

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