米シェール革命の世界的影響

技術革新が変える世界の経済・政治力のバランス


世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

世界の流れは、時々刻々専門家によって分析考察されています。それらを紹介し、もう一度岡崎研究所の目、日本の目で分析考察するコラム。

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エネルギー・アナリストであり、ピューリッツァー賞受賞者のダニエル・ヤーギンが、1月8日付Project Syndicateで、非在来型資源によるエネルギー革命が、米国に新たな回復力の源を提供しており、技術革新が如何に世界の経済・政治力のバランスを変えうるか論じています。

 すなわち、エネルギーにおける、今世紀これまでで最大の技術革新は、シェールガスとタイトオイル(シェール層や砂岩層などの高密度な岩盤層から採取される中・軽質油の総称)の開発である。

 豊富な供給量により、米国のガス価格は欧州の3分の1、アジアの5分の1ほどに下がった。タイトオイルは米国の石油生産を増やし、その増加量は12あるOPEC諸国の内8カ国それぞれの生産量よりも多い。実際、国際エネルギー機関(IEA)は、今後数年間で米国はサウジアラビアとロシアを追い越し、世界最大の石油生産国になるだろうと予測している。

 アメリカのシェールガスやタイトオイルは、世界のエネルギー市場を変えつつあり、米国に対する欧州の競争力及び、全般的な中国の製造競争力を低減し、世界政治にも変化をもたらしている。世界で新たに開発されたLNG生産の多くは米国市場を念頭に置いていた。今、そうしたLNGは欧州市場に向かい、伝統的な供給国のロシアとノルウェーには、予期せぬ競争をもたらしつつある。

 厳格な経済制裁がイランの石油輸出に課された時、多くの人は、世界の石油価格が急上昇し、制裁が最終的に失敗することを恐れた。しかし、米国の石油生産増加は、イラン産石油の不足を補うに余りあり、僅か2年前には気乗りしなかったような真剣な交渉の舞台に、イランを駆り立てている。

 アラブの国々では、米国におけるタイトオイル生産の急速な増加が、中東での関与低下を加速させるのではという不安が募りつつある。しかし、実際には、しばらく前から中東からの石油供給は、米国にとって大きな位置を占めていない。タイトオイルの増産以前ですら、ペルシャ湾は米国の総供給の約10パーセントを提供していたにすぎない。米国の戦略的利益を定義するのに与っていたのは、中東からの直接的な輸入ではなく、むしろ世界経済と世界政治への石油の重要性であった。これは、この地域が、米国の中心的な戦略的関心であり続けるであろうということを意味する。

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