WEDGE REPORT

2014年3月20日

»著者プロフィール
閉じる

砂原庸介 (すなはら・ようすけ)

大阪大学准教授

1978年大阪府生まれ。2001年東京大学教養学部卒、06年同大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得退学。09年同大学院より博士(学術)取得。日本学術振興会特別研究員を経て09年より大阪市立大院法学研究科准教授、13年より現職。著書に『大阪─大都市は国家を超えるか』(中公新書)、『地方政府の民主主義─財政資源の制約と地方政府の政策選択』(有斐閣)など。

 大阪都構想とは、大阪府と同等の権限を持つ政令指定都市の大阪市を特別区に分割する一方で、国際的な都市間競争に対応する都市整備を進める新たな広域行政体「大阪都」をつくろうという構想であるとされる。特別区の区割りなど大都市制度の設計図は、大都市地域特別区設置法に基づいて「大阪府・大阪市特別区設置協議会」(法定協議会)で議論されてきた。

 現在の議論では、最終的に区割りが5区になるか7区になるかは別として、特別区には中核市並みの権限が与えられるという。区長は公選で決め、区議会も設置。区ごとにマニフェストを作成するなど、地域に密着した住民サービスが提供できると大阪維新の会は説明する。

 しかし、特別区に大きな権限を与えることは、大胆に都市整備を行う広域行政体をつくることと矛盾しないだろうか。

 例えば、大阪市域(特別区)と関西国際空港など市外を結ぶ交通インフラを考えよう。日常生活で使う機会の少ない特別区の住民にとってメリットは少ない。むしろ、用地取得で立ち退きを迫られたり、利用者が増えることで騒音などに悩まされたりする可能性がある。そうした影響を心配し、住民が反対運動を起こすことは全国的にも見られる例だ。その時、公選の区長や区議会はどう対応するか。全国の自治体と同様、民意を背負う立場として、都市整備を進める広域行政体の「大阪都」に異議を申し立てるだろう。そして、都知事や都議会は、その意見に対し、何らかの調整を迫られる。特別区に大きな権限を与えて都市整備を妨げる結果になるとすれば、大阪市を廃止して意思決定を一本化しても意味がない。

 そもそも、大阪都構想が目指すのは、集権型なのか、分権型なのか。広域自治体に権限を集約し、企業や訪問者の利便性を追求するような大都市化を進める集権型と、特別区に権限を与えてその時点での住民に対するサービスを充実させる分権型は必ずしも両立するとはいえない。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る