世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年4月9日

 2月28日付Diplomat誌に、Patrick M. Cronin米CNASアジア太平洋安全保障プログラム上級部長は、「日米同盟に隠された3つの時限爆弾」と題し、日米両国は対中戦略、抑止戦略及び攻撃的軍事能力について共通政策を必要とする、との論説を書き、日米同盟の課題を指摘しています。

 すなわち、日本の新防衛計画大綱(NDPG)と、間もなく出てくる米国の4年毎の防衛見直し(QDR)は、中国の台頭への短期・長期の対応を取り扱っていて、一致点が多い。しかし、日米同盟は将来どう共通の対中戦略を策定するか、どう拡大抑止を維持するか、どう日本の攻撃力を含む能力を統合していくか、の3つの問題に直面する。

 今度の日本の防衛計画大綱(NDPG)は、中国の強圧的な外交など安全保障環境の悪化を強調している。特に中国の海洋での主張や中国の接近阻止・領域拒否(A2AD)能力の獲得に懸念を示している。中国は第1次列島線内の海洋を支配する狙いを持っている。

 2014年のQDRはまだ公表されていないが、NDPGと中国の自己主張への対応、海空での優位性確保などの点で共通性がある。NDPGと同じく、QDRは中国の台頭に伴う不確実な安保環境を強調している。ヘーゲル長官は優越した海空軍を維持すると言っている。QDRは空母11隻、F35配備などを予定している。

 日本は安全保障上の役割を正常化する過程にあり、早ければ4月にも集団的自衛権を認め、武器輸出3原則も緩和しようとしている。米国はQDR発表後、国家安全保障戦略を出すが、おそらくアジア重視政策が再確認されよう。

 しかしNDPGとQDRは3つの主要な問題を解決していない。

 第1は、同盟国間の安全保障目的の違いなどにより、同盟戦略を作るのが難しいことである。日本にとり中国の問題は緊急かつ近い問題であるが、米国にとっては少し遠い問題である。中国の圧力行使にどう対応するかでコンセンサスはなく、日米が対中共通戦略を作れるかが課題である。

 日本は「新しい大国関係」に疑念を持っている。日本は今や前線国家であり、中国の台頭の影響をじかに受けるので、米国よりも対中関係に敏感に反応する。

 第2の課題は、中国の軍事能力増大の中でどう拡大抑止を維持するかである。日韓ともに米国の核の傘を頼りにしているが、その信頼性は米国が軍事的優位を保持していることに依拠している。しかし、中国の通常戦力が強くなり、第2攻撃力も確実になれば、日本を守る保障が弱まったと考えられかねない。これを考え始めておく必要がある。

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