世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月6日

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 米ハーバード大学ケネディスクールのグラハム・アリソン教授が、第一次世界大戦勃発百周年に因んで、百年前のドイツのように、中国が台頭して権益拡大をはかっている現代は、1914年と類似しているところもあるが、米中は大人なので、偶発的な武力衝突があっても本格化させる可能性は低く、より心配なのは日本が中国に戦闘をしかけ、それが米国をひきずりこむことである、と1月1日付National Interest誌ウェブサイト掲載の論説で述べています。

 すなわち、20世紀初頭、鉄鋼王のカーネギーは世界平和を夢見て、ハーグにおけるPeace Palaceの建設に出資した(これは「国際仲裁法廷」となり、現在は国際司法裁判所が所在)。そして彼はちょうど百年前、1914年の元旦、「国際仲裁法廷が発足したので、これからは武力ではなく国際法が紛争を処理していくだろう」と書いた。第一次世界大戦が勃発したのは、その8カ月後である。

 百年後の今日、ドイツの台頭がバランスを乱していた当時と類似の要因がある。つまり、国力を急伸させた新興国をめぐる警戒心が高まり、旧覇権国を中心とする同盟体制と新興国との間で戦争が始まる可能性である。

 今日、米中の艦船、軍用機が衝突しても、両国は抑制した対応をして本格的対立には至らないであろう。しかし日本は違う。百年前のオーストリア・ハンガリー帝国と同様、衰退傾向にある国は、起死回生の一発で地位の回復を図りたがるものである。安倍首相は、日本の経済力を回復させるだけでなく、軍事力を再建し、多くの日本人が米国に押し付けられた平和条約と見なすもの(註:憲法を指すと思われる)を改正し、国防支出を大幅に増額し、日本が自分で領土を守ることができることを誇示しようとする野心を持っている。

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