【WEDGE創刊25周年特集】英知25人が示す「日本の針路」

2014年4月22日

 25年後、ますます世界の多極化が進む。世界の変化に対して、日本はどのように臨んでいくべきか─。

中西輝政(なかにし・てるまさ)
京都大学名誉教授。京都大学法学部卒。専門は国際政治学、国際関係史。著書に『賢国への道 もう愚かではいられない』(致知出版社)など。(撮影・阿部卓功)

 欧米では、国際関係、国際政治の分野において、「長期戦略予測」が非常に重視される。20~25年先は最もよく使われるタイムスパンだ。まず長期の予測を立て、毎年その予測を再検証し状況に応じた修正を加え磨き上げる。10年、15年先のより正確な予測を導き出し、深い洞察を加え、戦略化して政策運営に活かす。

 日本は、こうした予測を元来怠ってきた。その結果が、昭和の大戦の挫折、バブル崩壊後の「失われた20年」である。私は、英米を中心に若い頃からこうした長期戦略予測を専門としてきた研究者として、25年後の世界と日本について考えてみたい。

 2010年代に入ってから、米国は覇権国としての地位を放棄しつつある、という声が聞かれる。

 しかし、ここ数年の米国の行動はオバマ個人の外交方針によるものであり、米国の外交方針そのものが変わったわけではない。

 私は、25年後も世界の覇権国としての米国の地位は、現在とさして変わらないと見ている。それを支える米国のパワーの根源は3つある。

 1つは、基軸通貨としてのドルの立場である。25年前からつとに円とマルクの時代、あるいはユーロの時代がくると言われてきたが、ドルはそれらとまったく次元を異にした優位性をもつ通貨であり続けている。

 人民元はどうか。中国は確かにGDPを大きく成長させた。しかし、かつての大英帝国のポンドとドルのように、米国が世界のGDPトップになってから基軸通貨国の地位に立つまで30~40年を要した。人民元がドルに置き換わる時代など、これから25年のスパンでは到底起き得ない。

 2つ目は、「インターネット覇権」である。昨年のスノーデン事件を見ても、サイバー空間で米国の覇権が世界中の隅々まで及び、圧倒的に他国を引き離していることがわかる。

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