中国メディアは何を報じているか

2014年4月21日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 4月末に山東省青島市で開催を予定していた国際観艦式が中止になった(共同演習、フォーラムは実施)。中国がホスト国として国際的な軍事イベントを主催することは国威発揚において意義があるのだろう。中国では軍の活動を通じた国威発揚が海軍艦艇の海外訪問や共同演習によって図られてきた。ただ体面を重んじるあまり出し物として対外アピールの場に終始してしまい内容が形骸化する傾向もみられ、警鐘も鳴らされてきた(本コラムでも昨年10月8日に紹介)。

50を超える軍事関連の雑誌

 では実際に中国軍は一体何を考え、軍備を進めているのか、本音と建前、真偽が入り乱れる安全保障の世界にあって軍の内情はなかなか見えてこない。ただ解放軍による演習実施について詳細は明かされないものの報道によってその概要を理解することはできる。報道から客観データをつなぎ合わせて検証すれば大体の傾向を見出すこともできよう。このほどこのような丹念な作業を積み重ねて軍の演習を分析した興味深い記事が軍事雑誌に掲載されているので紹介したい。

『世界軍事』

 この記事とは国営通信社である新華社通信の軍駐屯支社である新華社解放軍分社が主管する『世界軍事』誌2014年第4号の記事「ビッグデータ分析2013年 中国軍事演習」だ。この『世界軍事』誌は普通の学術雑誌よりも小さいハンディサイズで多くの人に読んでもらうためか平易な文章で書かれ(もちろん学術誌のような注もない)、値段も割安だ。軍事マニアの若者を啓発し、売り上げ増加を図る商業誌といえよう。

 中国では膨大な数の兵役経験者や軍産複合体従業員がおり、おまけに学生にも軍事教練が実施されることからも広く軍事に興味がもたれ、軍事関連の雑誌、書籍が多い。一般の軍事マニアや若者向けの大衆誌、軍人向けの内部刊行誌、軍産複合体従業員向けの専門業界誌を合わせると軍事関連の雑誌は優に50誌は超える。『世界軍事』誌はこうした中で権威筋が刊行する比較的読者が多く、広く普及している雑誌だといえる。

* * *

【2014年3月4号『世界軍事』誌(抄訳)】

 検索エンジンで「中国+演習」と検索すると、2013年1月1日から12月31日の間だけで30万本のニュース記事がヒットした。ここから権威筋のメディア報道を整理すると、軍事演習は134回とまとめられる。この134回を大隊(中国では営と呼称:以下カッコ内は筆者:小さい組織から順に)→連隊(同、団)→旅団(同、旅)→師団(同、師)→方面軍(同、軍)→大軍区、それと外国との共同演習及び戦略レベルという8つの組織カテゴリーに分けると連隊レベルの演習が46回(34%)と全体の3割以上を占めた。

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