2024年11月21日(木)

中国メディアは何を報じているか

2014年4月21日

 南京軍区の状況も似ている。2013年には中日間での歴史的矛盾と島嶼係争が激化し、日本の中国への敵視が深まるにつれて、華東地域の海上防衛の一線を担う南京軍区(対尖閣、台湾作戦はここが担う)は戦備力を高め、対抗性の高い演習を実施した。南京軍区所属の空軍航空兵部隊を例にとると、2013年に行った対抗空戦訓練は例年より30%増加したという(表(2):具体的部隊別演習数を参照)。

 南京軍区傘下の航空兵のある師団(南京軍区が尖閣諸島をその作戦管轄下に置いていることから尖閣周辺に飛来する多くの航空機がこの空軍や海軍航空兵の部隊に属すると思われる:筆者)は定期的に地対空ミサイル、電子対抗、レーダー、高射砲部隊で対抗演習を実施し、数十にも及ぶソフトウェアも開発してパイロットの心理状態や身体能力、技術など各項目を100の評価ポイントに分け誰が任務に最適か、データで比較できるようにした。

キーワードは「実戦」

 2013年の中国軍による演習では、8つのキーワード(実戦〔175回〕、戦備〔95回〕、情報化〔63回〕、南シナ海〔51回〕、東シナ海・釣魚島〔日本では尖閣諸島と呼称、35回〕、体系対抗〔27回〕、快速反応〔8回〕)の登場頻度が多かった。そのうち「実戦」という言葉が多く表れたのは偶然ではない。習近平主席は2012年12月に第二砲兵部隊での党大会で「戦略的抑止と実戦能力建設」推進を主張した。その後、異なる場で何度も同様の指示を行っている。現に軍事演習における実兵訓練(机上の模擬訓練ではないのだろう:筆者)が頻繁になっているのだ。

 2013年1月には北京軍区が3つの旅団を動員して朱日和基地において史上最大の冬季演習を実施した。マイナス32度の極寒の中、人員にとっても装備にとっても厳しい試練だったが、22項目に上る技術刷新を行った。特に石油化学部門と共同でマイナス40度でも凍結しないデイーゼル油を開発した。

 中国海軍は近年遠洋訓練を行っており、2013年だけで海軍の3つの艦隊(北海、東海、南海)は7回、西太平洋海域で演習を行った。ほぼ毎月艦艇、航空機が宮古海峡やバシー海峡のいわゆる「第一列島線」を超え新聞を賑わした。9月には南京軍区と広州軍区が海軍と空軍が共同で「使命行動2013」演習を実施した。参加者4万人、活動距離は3万キロに及んだ。


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