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2014年6月16日

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八尋俊英 (やひろ・としひで)

日立コンサルティング取締役

1965年生まれ。日立コンサルティング取締役。IT分野の投資銀行業務を学んだ長銀を最初に、ソニーを経て中途採用第1期生として2005年経済産業省入省、情報処理振興課長、官房参事官を経て退職。直近2年はシャープにて新ビジネスに取り組み、クラウド技術開発本部長、2012年11月退職。2013年1月より現職。4月より東大生産技術研究所協力研究員。一貫して新しい部署・新設ポストで新開拓を続ける。

 リセットからリ・デザインに日本は入るのか。アベノミクスは前政権の沈滞ムードをリセットして、ある種の希望を人々に与えた。経済産業省にいた頃、参事官として新人採用の最終面談をさせてもらった。町興しなどに興味のある優秀な学生が、「社会構造を変えたい」という志望動機から、国土交通省、総務省、農林水産省を優先的に志願していた。経産省には、第2希望という学生も多く、社会の変化を感じた。

 当時は経産省の官僚として、町興しは商業の流れも重要で、「人の流れ」を変えるにも産業というステイクホルダーを理解することが大切であることに学生の目を向けさせようと努力したものである。

 しかし、今は若い世代が感じていたことが正しいと思っている。輸出大国といった既定路線、自動車交通と大規模商業施設を優先した国土設計も、今や大変古い感がある。日本の「家電産業」も、アップルやサムスンがモノを買う消費者から、モノを通じてサービスを享受する生活者を相手にしているという変化に気付くのが遅かった。

 多くの老舗的なブランドを持つ大企業の人から、「最近は優秀な若手がいない」という声を聞くが、若手の鋭敏な感性はこれまでの大企業では将来は勝てないと察知している。それゆえにトップクラスの外資系に殺到する。

 日本のこれからの“売り”は、確実に違うものになる。その兆しとして「和食」を含むコンテンツ、おもてなしサービス、医療、介護ロボットの技術開発、「Suica」、宅急便などの人流物流のマーケティングといったところは今後も世界を席巻していく可能性が高い。

 これまでの電機産業、自動車産業といった日本の経済大国化を支えた企業や人材には、そのままの枠組みでは役に立ちにくいが、彼らを「エキナカ」から終身介護まで社会デザインを切り開くプロデューサーに育て上げられるような企業や経営者が多数生まれれば、急速に日本は変化する。

 その際に日本経済団体連合会(経団連)、経産省など、従来の組織が採用している数値目標は大きく中身を変えていくことが必要になる。ある企業には財務的な売上や利益よりも別途設定するKPI(キーパフォーマンスインディケーター)の変化に着目する優秀な経営陣がいる。企業業績は大きく市場が変わっているときに利益を出していても、実は大きく潮流から外れていることがあるからだ。

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