NYタイムズはなぜ、
ウェブ課金に成功したか

“量”から“質”にシフトするウェブメディア戦略(1)


飯尾佳央 (Y.Iio)  WEDGE Infinity編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 「これを見て、NYタイムズの宅配購読を止めることにしました」(NY在住ジャーナリスト・津山恵子氏)

 そう言って津山氏は、NYタイムズ電子版が表示されたiPadを指さす。これまで20年以上も紙の宅配購読を続けてきた津山氏は、2014年1月に全面リニューアルされたNYタイムズ電子版の魅力を次のように語る。

 「レイアウトがすっきりしたことで、漫然とスワイプしても直感的に読みたい記事が見つけられるようになり、記事を読み落とす心配がなくなりました。記事中には、その内容を補強する動画やインフォグラフィックが見やすく配置され、さらに深い情報へとスムーズに遷移していけます。気になった記事はSaveのボタンを押せば、簡単にスクラップすることもできる。NYタイムズ電子版は、コンテンツのリッチさという点で紙をはるかに超えてしまいました」

 NYタイムズ電子版のディレクターを務めるTony Brancato氏は、今回のリニューアルの目的と成果をこう語る。

 「見た目をクリーンにして、読者が体験できるようなものにしました。その結果、読者はこれまで以上にコンテンツを深く読んでくれるようになり、SNSでシェアされる回数も増えています」

Tony Brancato氏(右)と、広報担当のLinda Zebian氏(左)(New York Times)

  リニューアル前のNYタイムズ電子版のトップページには、サイトの左側に詳細なカテゴリがずらりと並んでいた。リニューアル後は、大まかなカテゴリだけをロゴの下に残し、サイトの左上部に「Section」ボタンを配置。詳細なカテゴリはここに格納することで、クリーンなデザインを実現している。記事ページでは、大まかなカテゴリすら表示されない。読んでいる記事に集中させる環境を、意識的に作り出していることがわかる。

リニューアル後のNYタイムズのトップページ(左)と記事ページ(右)

 

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飯尾佳央(Y.Iio)

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