WEDGE REPORT

2009年6月2日

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欧米や新興国に比べ 落差の大きい日本

 宍道湖をはさんだ松江市の対岸、島根県出雲市北浜地区の標高200~300メートルの峰々に点々とそびえる26基の巨大な風車群。ユーラスエナジージャパンと、きんでんが合弁で設立した新出雲ウインドファームの新出雲風力発電所だ。総出力は78000キロワットで、国内最大規模。この4月に営業運転を始め、発電した電力は中国電力に売電する。年間の総発電量は1億4000万キロワット・アワーに達し、一般家庭約4万世帯分の電力を賄う。「これによるCO2の削減量は年間約85000トンに及び、原油に換算するとドラム缶19万本に相当します」と長谷川幸司・発電所長は説明する。

日本海を望む高台に立つ風力発電所
(新出雲ウインドファーム)

 CO2の削減対策として世界的に再生可能エネルギーの導入が熱を帯びているが、「風力発電はその主役となる」(祓川清・ユーラスエナジージャパン社長)との見方が強い。理由は、無尽蔵の風力を利用するため「再生可能エネルギーの中では発電コストが格段に安い」(資源エネルギー庁新エネルギー対策課)ことだ。関係者によると、風力発電のコストはキロ・ワット・アワー当たり10~24円とみられる。日本政府が普及に力を入れている太陽光発電が同43円程度といわれることを考えると半分以下。原油価格にもよるが、火力が同7円強とみられることからもかなり割安だ。

 世界の風力発電の導入状況をみても、2008年で1億2079万キロワットと、出力150万キロワットクラスの大型原子力発電プラント80基分に相当する。00年末時点では総発電容量が1346万キロワットに過ぎなかったわけだから「この8年間で実に9倍に急増した」(上田悦紀・三菱重工業再生エネルギー事業部主席技師)ことになる。国別には、ドイツやスペイン、デンマークなど欧州での導入が多かったが、最近はオバマ政権による優遇策が打ち出された米国や、風力発電プラントの立地適地の多い中国やインドなど 新興国での導入が加速している。

風力発電機器メーカーの工場を視察するオバマ米大統領(AP・Images)

 だが、日本国内に目を転じると、状況は一変する。まさに「ジリ貧」なのだ。理由は「(事業者にとって)採算性が悪い」(祓川社長)ことに尽きる。なぜ、日本国内で風力発電は採算性が良くないのか。

 最大の理由は電力会社からの買い取り価格が下がったことだ。関係者も「(買い取り価格は)00年頃の平均11円50銭(キロ・ワット・アワー当たり)から、現状は同10円20銭と1円以上下がった」と話す。それに国内の風力適地は北海道や東北、九州などが中心だが、電力会社間の送電系統がネックとなって電力の多消費地域に送電しにくいなどの課題もある。

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