2024年4月26日(金)

中国メディアは何を報じているか

2014年5月23日

 報道によると収集家に珍重され、絶滅に瀕する種族に害を及ぼしたと証明されれば、最悪で20年の禁固刑と巨額の罰金が科せられる可能性があるという。事件で焦点となっているのは中国とフィリピンの間の領海紛争である。本誌『壱読』はもちろん我が国の領海主権擁護を支持し、フィリピンととことんやり合うべきだと考えている。しかし同時に、もし拘束された漁民が本当に違法にウミガメを捕獲し、運んでいたのなら厳格に処分すべきだとも思う。もちろんその前提は中国の法律に依拠して処分することだが。

 我々は主権を係争しているが、中国の違法捕獲者の犯罪事実も正視しなければならない。現実には漁民が南シナ海で漁業によって生計を立てにくくなっているが、違法漁業を禁止しなければ南シナ海での生態系破壊の大きさは計り知れない。そこで今回はこうした心痛む出来事について話をしてみよう。

海南島では既に20年ウミガメが上陸していない

『壱読』誌本記事のブログ版:写真、上:浜に引き上げられたウミガメ、中:漁船に所狭しと並べられたウミガメ、下:シャコ貝を捕獲した漁船(これらの写真は今回のものではないようだ)
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 ウミガメは世界自然保護基金(WWF)によって既に絶滅危惧品種に認定され、国際的取引も禁止されて保護が決められており、我が国(中国)でも1970年代にウミガメを国家二級保護動物に指定した。我が国では90%のウミガメが南シナ海地域に生息しているが、彼ら(欧米)と対照的なのは中国人がウミガメを経済資源と考え、亀肉、亀甲製品を健康商品や薬品として見なし、ウミガメの美しい甲羅で装飾品や眼鏡フレームが作られる。そのため1959年から今まで中国の南シナ海では少なくとも10万匹のウミガメが殺されてきた。

 2013年3月、中国漁政局(農業省傘下の漁業取締部門の巡視船:筆者)が美済礁(英語ではミスチーフ礁と呼称。フィリピンが領有権を主張)で違法操業し、ウミガメを密輸しようとしている中国漁船を臨検し、船上に107匹のウミガメを発見した。

 こうした違法捕獲と同時に近海の汚染も大量のウミガメの死亡をもたらしている。海南島では既に20年以上もウミガメが岸に上がって産卵していないという。しかし、ウミガメの肉や製品の市場は依然存在する。海南省琼海市潭門鎮はウミガメの違法操業や取引の本拠地だ。

 近海漁業資源の枯渇の状況で利益を得るために一部の漁船は係争海域のサンゴ礁地域にまで赴き、ウミガメを違法に捕獲したり、購入している。2003年に海南省琼海市でウミガメ売買の拠点を摘発し、ウミガメ142匹を発見したこともある。同市政府が3月18日に公表したところによると、潭門鎮のあるレストランではあからさまにウミガメ料理を提供していた。同市の多くの店では少なからずのウミガメ製品が販売されていた。


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