World Energy Watch

2014年6月9日

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 ドイツ政府とEU委員会は、相次いで再生可能エネルギーからの電気を固定価格で買い取る再エネ法を見直すことを決めた。詳細は「ドイツがプーチンより恐れる電気料金上昇 再エネ政策見直しに舵を切るEU」で述べた通りだが、米国の多くの州でも再エネ法見直しの動きが出ている。

 11月の中間選挙を控え、再エネ法が共和党と民主党の争点に浮上する州も出てきた。そんななかで、世界で最も賢明な投資家の一人として知られるウォーレン・バフェットがテキサス州の電力事業関連で900億円の損出を出してしまった。社債を購入した電力会社が、再エネ導入とシェール革命の影響で破綻したためだが、バフェットの大損の背景をみると、将来の日本の電力市場を検討する際に考慮すべき大きな教訓が浮かび上がる。再エネの導入が電力会社の破綻を招き、その結果、自由化市場では誰も発電設備を建設しなくなり、やがて停電が発生するという話だ。

米国29州が導入している再エネ法

 欧州では、風力、太陽光などの再エネによる発電設備の導入を促進するために、固定価格買い取り制度(FIT)を基にした再エネ法が各国で導入された。その結果は、再エネからの発電量増加に伴う欧州主要国での電気料金の大幅な上昇だった。13年度下期の日本と欧州主要国の家庭用電気料金は、図の通りだ。

 電気料金の更なる上昇を避けるために、ドイツ、EU委員会はFITを廃止し、卸売市場の電力価格に一定額の上乗せを行うFeed-in Premium(FIP)に制度を変更することを決めた。長期に亘り固定価格が保障されるFITと異なり将来の電気料金が不透明となるために、事業者は投資を躊躇することになり、再エネ投資は大きく減速する。

 米国では、電気事業は主として州政府が管轄し、再エネ導入も州法が定めている。現在29の州とワシントンD.C.で再エネ導入に関する法が導入されているが、その法はFITではなくRPS(Renewable Portfolio Standard)に基づいている。固定価格で太陽光などの再エネからの電気を買い取るFITに対し、RPSでは再エネからの電気の買取り量のみが定められ、購入する再エネの種類は電力会社に任される。電力会社はRPS法で定められた比率まで、再エネから発電された電気を購入する必要がある。日本でもFITが導入されるまでは、2002年に導入された「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」と呼ばれたRPS法が利用された。

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