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2014年6月10日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

 毎月のように発生する大規模な暴力事件を見るにつけ中国国内の治安の悪化に驚きを禁じ得ない。雲南省昆明駅や広州駅前広場での通り魔事件、ウルムチ市内での爆発事件、こうした事件は「テロ」とされ、その対策強化が強調されている。習近平主席は、政治局会議でテロ強化を強調し、その日後に開かれた新疆工作座談会でもテロ対策強化を強く主張した。全国各地では銃を持った武装警官が街角で物々しい警備にあたっている。

 こうした情勢において警察では銃配備を徹底し、「テロリスト」と判断されるとすぐに発砲するようになっている。しかし、銃発砲が奨励されるに従って発砲の必要がないような事件でも警官が発砲する場合もあることから、銃器の「濫用」も懸念されている。そこで今回は中国国内で巻き起こった警官の銃器使用を巡る議論を紹介したい。『南方週末』紙の「『慎重な武器使用』から『ためらわずに剣を抜く』へ 警察はどう発砲するのが正しいか」という記事である。

* * *

【2014年5月22日 『南方週末』ネット版(抄訳)】

『南方週末』紙の本記事。写真は北京市環状6号線での動員演習に出動する特警車両。装備は急速に向上している
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 テロが多発するに従い、銃を持った警察が「身の回り」に現れるようになっている。治安維持を求める全国的なうねりは社会の安全、特に反テロの必要性に迫られてのことだ。

 中国の警察は「発砲に慎重であるべき」か「銃器の濫用と認定される」のか二つの境地に挟まれた難しい局面に直面している。厳格な銃管理と事後責任追究制度の厳しさのために一線の警官には拳銃を忌避する心理状態がある。銃の最も「正確な」使用法は「使わない」か「携帯しない」となっている。「銃配備しないのは警察への保護であり、上司を守ることにもなる」というわけだ。

 「ためらわずに剣を抜く(発砲する例え:筆者)」より重要なのは、銃器使用の制度化を進めることだ。具体的でフレキシブルな銃使用規定を早急に策定する必要がある。「上司がためらわずに発砲せよとは言ったが、やたらに発砲しろとは言ってないと(責任回避のために:筆者)言われるかもしれない」ためだ。

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