世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月26日

 5月6日付ワシントン・ポスト紙で、Fareed Zakaria同紙コラムニストは、米国とインドの間に戦略的パートナーシップを構築することで、アジアの安定に寄与することができる、と論じています。

 すなわち、オバマ大統領のアジア回帰政策は歓迎すべきものだが、もっと真剣に取り組んでほしい、というのが批評家の意見である。新政権の発足を捉えて、アジア第2の人口を持つインドとの間に戦略的パートナーシップを構築する、というのが、政策を行動に移すいいチャンスである。

 米印両国は、関係構築にあたり、幾つか乗り越えなければならない問題を抱えている。その第1が、インド新政権の首相になるモディ氏は、ブッシュ政権時代にブラックリストに載せられ、ビザの発給を停止された人物であることだ。モディ氏に対する追放措置は、差別的、恣意的、且つ過剰なもので、もう止めるべきである。

 多数のイスラム教徒が死亡したグジャラート州での暴動について、当時、州首相であったモディ氏は、何の措置も講じなかった、或いは、暴動に加担したとして、非難された。インド史における暗い事件であり、モディ氏の経歴を傷つけるものである。しかしながら、事実がどうであったかはわからない。

 この件に関して、米国にとって重要なのは、米国の国益を考えた場合にモディ氏の行動を問題にする必要があるのかどうか、ということである。

 「宗教の自由を大きく侵害した」としてビザの発給を拒否されたのは、モディ氏1人である。暗殺部隊、報復殺人やスンニ派の迫害等に関与しているとされるイラクのマリキ首相は、賓客として幾度となくホワイトハウスに迎えられている。

 モディ氏をブラックリストに載せた、米国国際宗教自由委員会は、宗教的少数派に対する組織的、継続的、且つ、甚だしい迫害を行なっている国のリストを作成している。米国が敬意を払うサウジアラビアは、リストの上の方に載っている。また、USCIRFの報告書は、少数派に対する暴力の絶えないパキスタンをリストに加えるべきだと提言している。イラクもリストに載せるべきである。しかしながら、それらの国の誰一人、ブラックリストに載せられたことがないし、宗教の自由を侵害しているとして、ビザの発給を拒否されたこともない。

 これを見る限り、米国の外交政策は一貫性に欠けていると言わざるを得ない。1998年にUSCIRFが設置された際、委員会は、キリスト教に対する迫害のみを対象としているのではないことを証明しようとしていた。そこへグジャラート州での暴動が起きたのである。当時モディ氏は、州首相に過ぎなかったので、ブッシュ政権の中に、モディ氏がリストに載ることに注意を払う者はいなかった。

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