原発建設計画270基超
日本を凌駕する中国の原子力に依存する日

中国“最新鋭原発”潜入ルポ


WEDGE編集部 伊藤 悟 (いとう・さとる)

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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福島第一原発事故後、反原発ムードや将来が見通せない現状に嫌気が差し、多くの原子力エンジニアがその職を捨てている。そんな日本を尻目に、隣国・中国では国家の強力な後押しにより、原子力が発展している。中国で話した原子力エンジニアは自信に満ち溢れていた─。

原発建設計画270基超
日本を凌駕する中国の原子力計画

原子力大国へ突き進む中国が誇る最新鋭原発の地に、海外メディアとして初めて足を踏み入れた。現地取材で見えてきた中国原子力の実態とは─。

中国では273基もの原発建設が計画され、沿岸部を中心に各地で建設ラッシュが起こっている(REUTERS/Aflo)

 「日本在技术方面可能做得比较好、但是在运行管理方面还不够严格(日本は技術はよいかもしれないけど、運転管理の厳格さが足りないね)」

 中国で原子力エンジニアを取材していた際に、彼らの口から発せられた“上から目線”の発言である。

中国で計画されている原子力発電所
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 いま、中国の原子力業界が隆盛を誇っている。運転中の原発19基に加え、建設中は29基、計画中はなんと225基にも及び、すべて足すと273基、2億8138万kWという驚異的な規模になる。日本は現在すべての原発が停止しているが、48基4426万kWが検査・停止中であり、先の見通しも立っていないことから、既に中国に数の上で抜かれているともいえる。

 2050年までに4億kW分の原発を建設するという調査もあり、1基100万kWとして400基分、現在、世界で運転中の原発すべてを足しても3億8800万kW程度であることを鑑みると、中国がいかに原子力に注力しているかが分かる。

 現在世界で商用炉として稼働しているのは軽水炉であるが、中国は軽水炉に限らず、高速炉、高温ガス炉、トリウム溶融塩炉、進行波炉、原子力船に軍事的な開発まで、原子力に対してあらゆる研究開発を行っている。国家が「将来の発展分野」と位置付け、強力に支援しているのだ。

 「実際にものづくりをしているところの技術力がもっとも高くなることを考えると、中国はこれから伸びていくでしょう」元東芝の原子力エンジニアである東京大学の諸葛宗男非常勤講師はそう話す。

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