6月14日付ワシントン・ポスト紙社説は、中国による、中国の文化の教育・宣伝機関「孔子学院」の大学内への進出により、米国の大学が中国に管理されつつあることに警告を発しています。
すなわち、米中間の教育交流は記録的な数に昇っている。こうしたプログラムには価値もあるが、リスクもある。
孔子学院がその例である。同学院は、中国政府からの大量の資金と支援を受けて、世界中で中国語・中国文化の授業を行っている。しかし、ドイツのゲーテ・インスティトゥートや英国のブリティッシュ・カウンシルと違い、多くの孔子学院は米国の大学内に直接入りこんでいる。このようなリンケージと中国による管理の組み合わせがリスクになっている。
最近、米国大学教授協会は、100に近い米国の大学に対し、この中国の文化的出先機関との関係を再検討することを求めた。大学教授協会は「時折、大学当局が大学の清廉性を損なう提携関係に入っている」とし、更に、「孔子学院は中国政府の出先として機能しており、学問の自由を無視することが認められている」と指摘している。
中国政府関係者は、孔子学院が中国のソフト・パワー拡大の鍵であり、「中国の対外プロパガンダ体制の重要な一部」であると述べている。学院は激増しており、中国は「2020年までに世界の500の大都市に設置すること」を目標としている。
教育交流が言論の自由を犠牲にする結果となってはならず、まして、それに米国の学術コミュニティーが協力するようなことがあってはならない。
ノースカロライナ大学では、2009年に、孔子学院がダライ・ラマ招待に反対したため、ダライ・ラマの訪問が実現しなかった。学長はブルームバーグの取材に対し、時間と資金の不足を理由に挙げたが、「我々が影響を考えなかったとまでは言わない。もちろん考えた。中国はノースカロライナにとって重要な貿易パートナーだ」と述べている。
3年後に、学院の教員Sonia Zhaoは人権委員会に対し、雇用契約上、「法輪功のような違法組織への加盟は禁止されていた」と述べている。グローブ・アンド・メール紙によれば、彼女は「授業において敏感な話題を避ける訓練を北京で受けていた」と言う。これはカナダの大学での例であるが、同様の手法は、米国の大学にあるセンターでも取られており、中国は雇用契約やカリキュラムの選択をコントロールしている。