経済の常識 VS 政策の非常識

2014年8月18日

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 6月24日に閣議決定された成長戦略に、最近の「人手不足」に対応するためとして、外国人技能実習制度の拡大が入った。これまで、農業、製造業、建設業などに限られてきた分野に、介護や家事労働などを加え、3年の滞在期間を最大5年に延ばそうとしている。

 実習制度とは、途上国からの労働者を日本で訓練し、帰国後、自国の経済発展を支えてもらうという制度だが、実態は、国内の人手不足を補う手段となっている。しかも、研修であるがゆえに労働基準法や最低賃金も適用されず、逃げないようパスポートを取り上げ、賃金未払いや法外な家賃を徴収するなどの事例があると、海外から繰り返し批判されている(朝日新聞、2014年6月22日)。

ウソはいけない

 国内でも強い批判がある。法務省の審議会の分科会で吉川精一委員は、「制度目的から大きく乖離し、単純労働者の受入れ手段に利用されている。技能実習生が、帰国後、日本で得た技能を生かした職場で働いているとの確たる証拠はない」との意見書(「技能実習制度見直しに関する意見」14年3月12日)を提出している。

 韓国も1993年に日本に倣って同様の制度を導入したが、海外からの批判に応えて03年に廃止した。代わりに韓国が採用したのは、雇用許可制で、外国人に労働法の保護を与えることにした。この制度は、ILOでも高く評価されたとのことである(前掲吉川意見書による)。韓国は、90年代の末から、サムスンなどの国際的企業だけでなく、公共政策の分野でも日本を追い抜く準備を着々と進めていたのである。

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