世界初・カフェインゼロの緑茶飲料
「やさしさ生茶 カフェインゼロ」

梅澤裕樹さん (キリンビバレッジ マーケティング部担当部長)


池原照雄 (いけはら・てるお)  ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

ヒットメーカーの舞台裏

どんな不況でも、次々と誕生するヒット商品。気になるあの商品は、いったいどのようにして生み出されたのか。舞台裏の開発秘話を丹念に追い、開発者たちの生きざまに迫ります。

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緑茶飲料では世界で初めてカフェインをゼロにした。妊産婦や幼児などに需要層を広げるとともに、就寝前にも気楽に飲めるといった新しい飲み方も開拓した。今年4月末の販売開始から2カ月で、年末までの販売計画である100万ケース(1ケース24本換算)の4割強を消化する売れ行きとなっている。

緑茶飲料でカフェインゼロは世界初だという

 現在は500ミリリットルのペットボトルのみで希望小売価格は税別140円。自販機向けの小容量や、家庭用の2リットルなどが出れば、販売はさらに加速しそうだ。

 キリンの主力商品で比較すると、緑茶にはコーヒーの6分の1程度のカフェインが含まれている。苦み成分でもあるカフェインを除いても、お茶らしさはあるのか。半信半疑で飲むと、思わず「すっきり。飲みやすい」とつぶやいていた。「らしさ」もしっかりしており、従来なかったお茶の味わい方だと感じる。

 商品化のきっかけは、「お客様相談室」に寄せられた顧客からの声だった。成分についての問い合わせのうち約2割がカフェインに関するもので、「どれくらい入っている?」「入っていないものは?」というのが主な問い合わせだった。できればカフェインは控えたいという顧客は決して少なくないのだ。

 こうした声を元にキリングループの研究所では、2010年から緑茶でのカフェイン除去技術の開発に着手、2年がかりで確立した。抽出したお茶に天然素材による吸着剤を反応させる技術で、実に約100種の吸着剤パターンから、最適なものを発掘した。カフェインのみを取り除き、緑茶のうま味成分および健康成分の「カテキン」や「テアニン」は残せるという技術であり「カフェインクリア製法」として特許出願している。

 この技術を生かした商品開発のスタートは12年秋。キリンビバレッジのマーケティング部担当部長、梅澤裕樹(43歳)が「生茶」シリーズの商品企画責任者となって動き出した。実はこの時、すでにプロトタイプのカフェイン除去品ができていたという。ただし、ゼロではなく「90%カット」。微量だがカフェインを残した方が、味のバランスが良かったからである。

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「ヒットメーカーの舞台裏」

著者

池原照雄(いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

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