世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年8月29日

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 米ヘリテージ財団の中国専門家、ディーン・チェン研究員が、7月9日付で発表した論文で、中国の周辺地域において中国に比べて米国が圧倒的に有利な点は、多くの国々が米国の友邦国か同盟国であることであるとして、中国の「接近阻止・地域拒否(A2/AD)」戦略に対して、米国がとるべき対抗策を提言しています。

 すなわち、中国の周辺海域での戦略は、1996年の台湾海峡危機の二の舞のような事態を避けるためにも、米国空母などの展開を阻む「接近阻止・地域拒否(A2/AD)」戦略をとっている。

 このA2/AD戦略に対し、米国としては如何なる戦略をとるべきか。これまで、米国の対抗策としては、エア・シー・バトルや「統合接近作戦概念(JOAC:Joint Operational Access Concept)」といった、戦術的、作戦的レベルで議論されることが多かった。しかし、中国自身が軍事上のみならず、政治的、外交的対策などを含む統合的戦略を取っている以上、米国としても次のような包括的アプローチをとるべきである。

1)同盟関係や安全保障上のパートナーシップの関係を強化する。つまり、地域の主要プレイヤーたちとの関係を強化しなければならない。フィリピンに対しては追加的機材や融資を提供する。フィリピンのさらに多くの軍事施設を米国が利用できるようにする。南シナ海でのより積極的な米軍のプレセンスを確保するため、シンガポールに追加的な艦船を配備する。中国の対台湾攻撃能力の高度化に対抗して、台湾の防衛能力を強化するための諸措置をとる。

2)ベトナムを安全保障上のパートナーと位置付ける。ベトナムとの間で軍と軍の関係を強めることは効果的な方法であろう。スプラトリー、パラセルなどの島嶼をめぐり、中越間の緊張は続いている。ベトナムは極めて慎重な表現を使いながらも、米国との交流関係を維持することを歓迎している。限定された数のベトナム将官たちが、目下、米国で訓練を受けており、2007年以来、米国はベトナムに防衛品目の一部を売却することを許可してきた。米海軍の艦船は現在ベトナムの港湾を訪問することが出来るようになった。ただし、ベトナムとの間では人権の問題などのために、米越間の交流は限定されたものになっているが、それでも、今後、より高いレベルの交流に変えていくことは可能であろう。

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