今年の都立高校入試の理科の出題ミスも
地学の問題だった
今年の2月24日に実施された都立高入試の理科の問題で出題ミスがあり、東京都教育委員会は、当該問題の配点5点を全員に加点する処置をとった。このことが大きく報道された理由は、単に出題ミスがあって加点されたからではなく、その対応が遅れ、合格発表の前日になってから、加点の処置が施されたという混乱ぶりによるものだ。
通常、こういった出題ミスがあった場合は、入試のテスト終了すぐに、各校で採点を始める頃には、学校現場から指摘がなされ、速やかに教育委員会が対応し、指示を出して、それに基づいた採点作業が進められる。そうすれば、合格判定に向けた作業に、あまり大きな混乱が起こらないで済む。しかし、今回は、当初、都教委は多くの指摘を受けても「出題ミスではない」として対応をせず、ほぼ全ての高校で採点作業や点検作業や合否判定が終わった後の、合格発表の準備をしている頃である発表前日になって、採点のやり直しが指示されたのである。その問いに関しては、正解不正解関係なく、全員に5点加点だったために、正解とされていた生徒はそのままだが、不正解とされていた生徒に5点を加点する作業となる。5点も増える生徒が多く出れば、ボーダーライン上の合否判定はおそらく何人も入れ替わり、現場はたいへんだっただろう。ただでさえ、入試業務はミスが起こりやすいのに、判断が遅れ、このような対応となってしまったのはなぜか。
出題ミスの内容は、秋分の日の地球、月、太陽の位置関係や道筋について質問した大問3の中の問3で、問題文の中に「秋分の日の」と限定条件を記載すべきところをしなかった、というものである。
入試当日の終了直後から、この問題はネット上などでも話題になっていて、筆者も知人から相談を受けて、問題を解いた。工夫された良問だと思うが、問3に関しては、問題文で「秋分の日の」という限定をし忘れているために、解答は、4つの選択肢から2つにまでしか絞り込むことができないものだった。
(この問題文と出題ミスの内容については、東京都教育委員会のトップページから、「報道発表資料」→「平成26年報道発表資料」→「平成26年度東京都立高等学校入学者選抜学力検査(理科)の学力検査問題の誤り及び採点上の対応について(2月27日)」とリンクを辿ったところに今も掲載されている)
しかし、多くの指摘を受けても、都教委が一向に出題ミスを認めない、ということがネット上で伝えられ、筆者も、出題ミスに気付いた者の責任として、合格発表の2日前から、都教委にはたらきかけをした一人だ。