経済の常識 VS 政策の非常識

2014年9月5日

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 日本のリベラルはアベノミクスの第1の矢、大胆な金融緩和、リフレ政策が嫌いらしい。リベラルが、機密保護法や集団的自衛権に反対するのは、そのイデオロギーから言って当然だろうが、なぜリフレ政策に反対するのだろうか。

 リフレ政策のお蔭で経済が拡大している。雇用が良くなっている。増えているのは非正規ばかりと言われていたが、正規の雇用も拡大している。雇用情勢が良くなっているのは大都市だけのことではない。有効求人倍率はどの都道府県でも上昇している。

 人手不足のおかげで、これまで安い人件費で猛烈に人を使っていた企業も、考え直さざるを得ない状況になっている。そもそもブラック企業と評判の立った企業に人が集まらなくなっている。

経済の好転は自殺者も減らす

 自殺者も減っている。景気が良くなれば自殺者も減るとは常識的な判断だが、これは厳密な実証分析でも支持されている。失業や倒産は当然、経済的困窮を通して自殺率を高める。さらに、精神的・肉体的疾病のリスクを高めることによっても自殺率を高める。

 澤田康幸・上田路子・松林哲也『自殺のない社会へ』(有斐閣、2013年)は、著者自身と多くの実証研究を駆使して、経済と自殺の関係を明らかにしている。失業率と自殺の相関関係は、日本の場合、他のOECD諸国に比べても大きく、男性の就業年齢層(35-64歳)では、特に失業率が自殺率を高める。40-50歳代男性の職業別自殺率を見ると、無業者、無業者のうちの失業者において特に高くなっている。国際データ、県別データでの分析によっても、失業率や個人の自己破産率が、男性、特に40-59歳の男性の自殺率の上昇をもたらしているという。

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