8月13日付のNational Interest誌で、Ben FitzGerald新アメリカ安全保障センター上席研究員が、過去40年間米国が享受してきた軍事技術の圧倒的優位が崩れつつある現在、米国は技術優位を維持するため、新しい戦略を考えなければならない、と述べています。
すなわち、米国防副長官のBob Workは、米国の技術優位を維持するために第3の相殺戦略が必要だと言った。相殺戦略とは、他国の戦力の優位を克服する、または弱める戦略である。
第二次世界大戦後、最初の相殺戦略は、冷戦初期、ソ連の通常戦力の優位を、米国の核戦力の優位で相殺するものであった。この戦略はソ連が核の第2撃能力を獲得し、米国との間に核の均衡と相互確証破壊を達成するに至って、効果を失った。
そこで米国は、ソ連の通常戦略の優位に対し、通常戦力による抑止を強化するという第2の相殺戦略を開発した。通常相殺戦略という場合、この第2の戦略を意味する。相殺戦略は、1970年代後半、当時の国防次官Bill Perryの指導の下に開発された。戦略は2つの重要な部分から構成されていた。
第1は、国防省が、全地球測位網(GPS)、情報・監視・偵察システム(ISR)や米国の兵器体系の効率を向上させる情報・ネットワーク技術といった、相乗効果を上げるような技術の研究開発にふんだんに予算を使い、技術の優位を生み出したことであった。
第2は、このような技術優位が、武器輸出管理法など、一連の輸出、貿易管理によって、擁護されたことであった。
相殺戦略は見事に成功し、比類のない米国の軍事、技術の支配の時代が到来した。成功したのは、ワルシャワ条約軍の数的優位に対する通常兵器による十分な抑止を築くという明白な必要性があったためであった。
しかし、現在、その優位は次第に崩れつつある。今日、米国はより不確かな戦略環境に直面しており、国防省の技術戦略、研究開発、防衛産業の指針となるような単一の大戦略はもはやない。