世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年6月6日

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 4月30日付Wall Street Journal紙にて、Leon E. Panetta前米国防長官が、大統領や議会指導者は、政治的なリスクをとって、軍の即応性を維持すべきである、と論じています。

 すなわち、3年前の4月29日、米特殊作戦部隊はオサマ・ビン・ラディン殺害に成功した。しかし彼の死が米と同盟国への脅威をなくしたわけではない。3年後、世界は危険なままである。民主党、共和党に米軍撤退ムードが広がるが、最近の出来事は危機への対応の必要性を示している。

 ロシアは更なるウクライナ侵攻で脅している。シリアは人道的破局にある。アルカイダはイラク、シリア、北アフリカで再び台頭している。北朝鮮と中国の動向は、太平洋での米軍強化を要求する。イランの核開発や中東での混乱は中東での強い米軍を必要とする。アフリカなどへの軍事支援も、テロ対処などのために重要である。

 米国大統領とそのチームは、イラク戦争終結、アフガン撤収、カダフィ転覆、イラン制裁、アジアへのリバランスなど良くやってきたが、まだ外交問題は残っている。外交が成功するためには、強く信頼性のある軍の支援が必要である。それなのに、今、軍の弱体化が起こっている。

 防衛予算削減ができないと言っているのではない。しかし、間違ったやり方で予算削減してはならない。正しいやり方は、安定した長期的な資金を提供し、一定の期間に節約すべきことを明示しつつ、防衛予算を減らすことである。国防長官は支出削減の裁量を持つべきである。

 議会は当初正しいやり方で始めた。2011年の予算統制法で、10年で4870億ドルの節約を要求した。国防長官として私は、この節約を実現する新防衛戦略を作るために努力した。

 しかしその後、進展が止まってしまった。議会と行政府は長期的予算に合意することに失敗した。強制削減、政府閉鎖、短期的合意で事態が流れているが、不確実性という強い防衛を掘り崩すものに帰着している。議会は国防長官の裁量権も制限している。暫定的な2年予算合意は短期的な安定をもたらしたが、軍の即応性低下は止まっていない。

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