2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年2月8日

 AEIのマッケンジー・イーグレン(Mackenzie Eaglen)が、12月28日付AOL Defenseに「米超大国の地位は財政の崖を転げ落ちる(America’s superpower status goes over the fiscal cliff)」と題する小論を寄稿し、国防予算削減が続けば、米国は同時二正面戦争遂行が不可能になり、従来のような政治的影響力を失うことになろう、と論じています。

 すなわち、米国が2013年冒頭の「財政の崖」を乗り越えるか否かにかかわらず、結局のところ、米軍は今回の財政削減により、長年維持してきた「二正面戦争」を戦える軍の建設を永久に断念せざるを得なくなるであろう。

 「二正面戦争」型軍隊がなくなれば、米国は従来のような世界中いたるところでの活動というものはできなくなるが、これは、「米国が超大国の地位を失う」といった、最近の米情報機関の最新の予測が正しいことを、残念ながら証明するものである。

 財政削減の悪影響は米軍全体に及ぶが、特に、研究開発費の削減により、国防省は、次世代型の潜在的に極めて重要な多くの技術開発に関する予算を失うことになる。

 多くの分析者の国防予算削減に関する予測はほぼ共通しており、程度の差はあれ、いずれもテロ対策やアジア太平洋へのリバランスを重視したものとなっている。

 今回のような規模の国防予算削減は、事実上、国防省の全ての計画を脅かすものであり、大げさな宣伝の割に中身の伴っていない2012年の戦略国防ガイドラインを見直すが必要があるだろう、と論じています。

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 この論説は、米軍の「二正面作戦能力の喪失」を真正面から憂いており、内容は、国防費削減の悪影響という現実を冷徹かつ淡々と語るものです。「出るべきものが出た」との感を禁じ得ません。


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