WEDGE REPORT

小保方晴子が開けたパンドラの箱 アカデミアは不都合な真実に向き合えるか
STAP問題で明らかになったわが国の課題

市川家國 (いちかわ・いえくに)  理化学研究所・研究不正再発防止のための改革委員会委員/ 信州大学特任教授

慶應義塾大学医学部卒業。ハーバード大学准教授、バンダービルト大学教授、東海大学医学部教授等を経て現職。米国の研究倫理教育に詳しく、CITI Japanプロジェクト副統括も務める。

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ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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 この保証があってこそ、学位を取得した日本の研究者が世界の場で自信を持って活躍できる。この日本のリーダーとしての責務と、民事裁判で縺れたくないといういわば組織防衛の責務とは相いれ難い。

 この2つの責務をかかえた中で、早稲田の首脳は後者を優先した。今後同大でPh.D.を取得していく者の利益より、過去にPh.D.を取得した者の利益を守ったのだ。

 確かに、今回の結果は、乱発された学位を持つ多くのPh.D.に安堵を与え、さしあたりの平和は保たれたように見える。しかし、今後、早稲田はどのような手立てで失地を取り戻そうとするのだろうか。小保方氏によってたまたま、不都合な真実を持ち込まれる先となってしまった早稲田の大人たちは頭をかかえているに違いない。

 小保方氏は日本のアカデミアのパンドラの箱を開けた。たくさんの低品質の学位が乱発され、今も乱発されていること。そして、研究機関が、共同研究・知的財産等の多くの近代的問題を抱える中で、その管理に必要な訓練・経験を積んだ人材を育てていないこと。この2つの不都合な真実に我々はどう向き合っていくべきなのだろうか。

幹細胞研究で不正を行った韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)教授は最終的に有罪判決を受けた(2009年)(AP/AFLO)

 理研の改革に携わる者が直面する難題を解決できるような成熟した環境をつくっていくために、我々自身にも取り組むべき課題があると思われる。

◆Wedge2014年10月号より









 

  
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著者

市川家國(いちかわ・いえくに)

理化学研究所・研究不正再発防止のための改革委員会委員/ 信州大学特任教授

慶應義塾大学医学部卒業。ハーバード大学准教授、バンダービルト大学教授、東海大学医学部教授等を経て現職。米国の研究倫理教育に詳しく、CITI Japanプロジェクト副統括も務める。

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