時代は好景気か不景気か?
人手不足対策の本丸は「何もしないこと」

冨山和彦 × 原田 泰


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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失われた20年ーーー日本経済で労働力と言えば余るもの。ここ最近言われ始めた「人手不足」はいったい何なのか。経済の現場と理論を知る2人がアベノミクスの今後を提言する。

編集部:最近、人手不足が話題になっていますが、冨山さんは近著『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)のなかで「地方のサービス産業の労働市場においては、5年ほど前からこの傾向が表れていた」と書かれていますね。

冨山和彦(経営共創基盤代表取締役CEO) 1960年生まれ。ボストン・コンサルティンググループ入社後、コーポレート・ディレクション社設立に参画、後に代表取締役社長に就任。産業再生機構COOなどを経て現職。近著は『なぜローカル経済から日本は蘇るのか』(PHP新書)。(写真・松村隆史)

冨山和彦:地方経済の現場では、売上高が前年比横ばいかマイナスであるにもかかわらず、人手が猛烈に足りないという現象が起きています。

 東京よりも地方のほうが高齢化と生産労働人口の減少が先に進んでいます。私ども経営共創基盤は100%出資の子会社として、東北・北関東地方のバス・タクシー会社を束ねるみちのりホールディングスの経営に携わっていますが、6、7年前からずっと運転士は足りません。でも、バスの乗客数の減少は止まってきています。軽自動車を運転していた人が年を取って公共交通機関に帰ってくるんですね。医療や介護でも似たことが起きています。小売でも、いま例えば東北地方で大型店舗をやろうとすると、最大の制約は店員確保です。

 バス会社は労働集約産業で、人の頭数で供給が決まります。一方で、お客さんは年少人口と老齢人口が中心。人はリタイヤしてから亡くなるまでに20年ほどありますから、この間はもっぱら消費人口として生きます。生産労働人口は常に先行して減るので、需要に供給が追いつかない状態がこういう産業領域では起きやすい。

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