チャイナ・ウォッチャーの視点

2014年11月5日

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 先月29日、中国2番手の国営通信社である中国新聞社が配信したニュースによると、中国の王毅外相は同日、APEC期間中の日中首脳会談の可能性についての記者からの質問に対し、こう答えたという。

 「APECでは中国はホスト役だ。中国人には昔からの習慣がある。やってきた人は皆客人だから、中国はすべての客人に対して必要な『地主の誼(よし)み』を尽くすつもりだ」

国内対策の意味合いも?

 この発言を聞いて、筆者(石平)は、中国政府が日本との首脳会談に応じる方針をほぼ固めたのではないかとの結論に達している。その理由は下記の通りである。

 1. 中国人の一般的な感覚として、やってきた客に「地主の誼みを尽くす」とは、要するに相手と会って歓待する、という意味合いである。「日中首脳会談あるかどうか」という記者の質問に対してこのように答えるということは、当然、中国首脳が何らかの形で「客人」の安倍晋三首相と会うつもりだ、というニュアンスになる。

 2. 今まで、中国高官や外交部報道官に同じような質問があった場合、まずは「関係改善への日本側の誠意ある措置」という趣旨の言葉を持ち出してそれが前提条件であることを示唆してきたが、今回王毅氏が最初から「中国人の習慣」云々と言って会談の可能性について前向きに言及したのは一つ大きな変化である。

 その後で彼はもちろん、「日本側は問題の存在を正視して問題解決の誠意をもつことを期待する」と付け加えたが、しかしそれは「首脳会談実現の前提」としてのニュアンスはもはやない。「今後への希望」との意味合いになるのである。

 3. 王毅外相が「中国人の習慣」と言い出したことは、国内対策の意味合いもあると考えられる。つまり、日中首脳会談が実現した場合の国内の反発を見通して、「客人を大事にするのはわれわれ中国人の習慣ではないか」との弁明を事前に用意したようなものである。会談後の国内の反発に対する言い訳を既に考えていることは、中国指導部が会談する方針を固めていることの証拠である。

 4. 王毅外相は同日、11月7日から始まるAPECに関する中国側の意気込みと「ビジョン」について演説を行った。その中では彼は、ホスト国として中国が今回のAPECのメインテーマを「未来志向のアジア・太平洋パートナーシップを共に築く」と掲げることを発表した。

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