世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月11日

 米ボストン大学のベースヴィッチ名誉教授が、10月3日付ワシントン・ポスト紙掲載の論説で、米国の中東での軍事介入は安定、秩序をもたらさず失敗であった、と述べています。

 すなわち、米国の中東介入は、1980年にカーター大統領が、米国はペルシャ湾が好ましくない勢力に支配されるのを防ぐため軍事力を行使する、と宣言したことから始まった。それは、米国が、第一次大戦後主として英国が作り出した秩序の崩壊を防ぐ責任を背負うという重大な決定であり、それまで重要な軍事関与を避けてきた地域に乗り出すこととなった。当時、米国の主たる利害は、自由や民主主義ではなく石油であり、地域の安定が目的であった。

 しかし、実際には、地上軍の派遣、またはミサイル攻撃により安定をもたらそうとする米国の努力は逆の結果をもたらした。米国は短期的には混乱をもたらしても長期的には秩序が築けるとの誘惑にかられた。政権交代による国造りを目指そうとしたが、ほとんどの場合、強制的な政権交代は力の空白を生んだ。イラク、リビアがいい例であり、おそらく米、NATO軍の撤退後のアフガニスタンがそうなるだろう。

 米国の意図に反して不安定が生じた結果、第一次大戦後欧州が押し付けた秩序に代わるものを創ると主張する、イスラム急進派の台頭を許した。新しい秩序とは、オサマ・ビンラディンが熱望し、いま「イスラム国」に生まれつつある、カリフの支配する政権である。

 たとえ、「イスラム国」を殲滅できたとしても、シリア情勢が好転し地域の調和が生まれるようなことは考えられず、さらに、ヨルダン、リビア、ソマリア、あるいは、イエメンで、次の軍事介入があることは間違いない。

 たとえ米国が中東全域に平和をもたらそうと決意しても、米国の軍事力は答えにはならない。米国の軍事介入は、骨折り損であった。さらに悪いことに、介入は不必要であることが明らかになりつつある。北米にシェールオイルやシェールガスが豊富にあるので、1980年以降の軍事介入を不可避としたペルシャ湾の石油は、もはや必要でない。

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