世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年11月20日

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 米国のマケイン、グラハム両上院議員が、10月6日付ウォールストリート・ジャーナル紙に、「イスラム国(IS)」打倒のためには、アサド大統領も追放しなければ、シリア国民の生命や米国の安全保障への脅威を増大させるだけである、という趣旨の論説を寄稿しています。

 すなわち、空爆によりISの勢いは衰えてきているが、完全に敗北に追い込むことはできないであろう。その理由の1つは、オバマ政権が、アサドを退陣させ、シリアの内戦を終わらせる、有効な政策を打ち出せていないからである。

 オバマ政権は、ISへの対応を優先して、アサドの問題は先送りするとのことであるが、ISへの攻撃を行なっても、アサドを放置しておけば、米国は、不本意にも彼を利することになる。

 アサドによる20万人近いシリア国民の大虐殺がISを生んだようなものであり、アサドは、ISの勢力拡大とシリア国内での活動を黙認してきた。米国がシリア内戦の終結に向けて一層の努力をしない限り、ISとの戦いにおいて、シリア国民の信頼と支持を得られる可能性は低く、ISの影響力を増大させ、シリアの穏健派反政府勢力の力を弱めることになる。

 米国が軍事顧問団を送り込むことで、指揮統制の分野で地元の治安部隊を支援できる上に、米軍による空爆、諜報活動や特殊部隊の活動との協力が可能になるが、オバマ大統領は、その点も無視している。地上部隊の協力は、標的の特定や効果的な攻撃のためにも、一般市民の巻き添えを防ぐためにも、不可欠である。

 最大の矛盾は、実際の軍事介入と、シリアにおける挙国一致の政治体制への「移行」という政策目標が、直結していないことである。この政策目標を達成するためには、米国の軍事顧問団がより大きな役割を担う必要がある。中東の主要な同盟諸国は、ISだけではなく、アサドに対しても立ち向かわなければならないことを認識しており、米国との協力に前向きである。

 シリア内戦への介入は、大規模な軍事作戦になるであろうが、この3年間、行動を渋ったことで事態が悪化し、オバマ大統領は、選択肢に入れていなかった軍事作戦をも取らざるを得なくなっている。

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