ヒットメーカーの舞台裏

2014年12月4日

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池原照雄 (いけはら・てるお)

ジャーナリスト

1950年生まれ。専門紙や全国紙の経済記者として自動車、エネルギー、金融、官庁などを担当。00年からフリーになり幅広い執筆、講演活動を展開。著書に「トヨタVSホンダ」(日刊工業新聞社)、「図解雑学 自動車業界のしくみ」(ナツメ社)など。

 いれたてのエスプレッソの深い味わいや泡立ちを追求した。今年8月に発売し、缶を上下に振って泡を立てる飲み方もテレビCMで注目された。顧客からの相談窓口には、「これまでにない味」といった反響が多く寄せられ、セールス自体も順調なスベリ出しという。

泡立てることで「深く、うまい」を追求

 キャップには「最初の開栓時10回以上振ってください」と書いてある。缶の中でシャワシャワという音がしなくなると、泡立てが完了する。「クレマ」と呼ばれるコーヒーの泡を視覚で楽しみ、味や香りも伝わりやすくするため、缶は大口径タイプを採用している。

 いわゆる「微糖」タイプで、個人的には苦味などのバランスも良く、好きな味だ。自販機での価格は140円。シーズンや好みに応じ、アイス、ホットのいずれでも飲める。

 商品企画を担当したのはマーケティング部コーヒー開発グループ・リーダーの小西勝彦(37歳)で、缶コーヒー市場の逆風が商品化の契機となった。逆風とは2012年からコンビニで人気になった「カウンターコーヒー」と呼ばれる、安価ないれたてコーヒーの登場である。

 価格からも缶コーヒーとの競合は避けられず、また、缶コーヒーの有力販売ルートであるコンビニの店舗内では、売り場面積の縮小など苦戦を強いられる展開となってきた。

 そんな折の13年秋、ダイドードリンコは経営トップや開発、営業担当者、さらに製造委託先も含めた視察団を組んで欧州に飛んだ。大消費国でのコーヒーの飲まれ方や文化に、改めて現地で触れてみようという狙いだった。参画した小西に強烈な印象を刻んだのが、イタリアで味わったエスプレッソだった。カフェを提供するバール(Bar)で、出勤途上の人々が立ち飲みする場に交じって飲んだ。

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