経済の常識 VS 政策の非常識

2014年12月24日

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 消費税増税が2017年4月まで先送りされたことをもって安倍内閣が財政再建に真剣でないとして非難されている。しかし、財政再建とは何で、どうしたら財政再建できるのだろうか。

なぜ財政再建が必要なのか

 もちろん、なぜ財政再建をしなくてはならないかという議論も必要だ。そんなことは当たり前だと言う方も多いだろうが、実はよく分からない。財政赤字とは、政府が国債を発行して貯蓄を集め、それを社会保障なり、公共投資なりに使うことである。経済学者が通常する議論は、ある国の貯蓄の量は一定だから、政府が貯蓄を使えば、民間が使える貯蓄の量が少なくなり、金利が上がって民間の投資を抑え、将来の所得を下げる。すなわち、財政赤字は将来の子供たちの所得を引き下げて、現在の世代のために所得を使っていることになる。だから、財政赤字は良くないというのである。

Bloomberg / GETTY IMAGES

 さらに、財政赤字がリスクを拡大するという議論もある。政府の債務が大きくなっていけば、投資家は政府の債務返済能力を疑うようになり、高い金利でなければお金を貸さなくなる。金利が上がれば、政府の膨大な負債の金利が上がり、利払い費が増える。利払い費の増大によって、政府はますます債務を返済することが困難になるという悪循環が起こるともいう。

 しかし、「増税先送り この程度で金利「暴騰」ですか?」(ウエッジインフィニティ、14年11月19日)で書いたように、安倍政権が消費税増税を延期しても、長期金利はそれ以前の0.454%(14年11月10日)から0.500%(11月18日)と0.046%しか「暴騰」しなかった。その後は、元の0.45%水準に戻っている。これでは、財政赤字がなぜ良くないのか分からない。

 現在、政府の債務残高は約1000兆円、日本の名目GDPは約500兆円である。年収500万円の人が1000万円の借金を抱えていたら結構大変だが、返せないというまででもない。だから、金利が上がらないのだろうが、1000万円が5000万円になれば心配になる。財政赤字が無限大に大きくなっていっても何も起こらないことはないだろう。その意味で、財政再建は必要だろう。

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