経済の常識 VS 政策の非常識

2014年11月19日

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 消費税増税は2017年4月まで先送りされた。増税しないと金利が暴騰して大変なことになると言われていたが、確かに暴騰した。図に見るように、10年物長期国債指標銘柄の金利は、増税がそのまま実施されるだろうと思われていた2014年11月10日の0.454%から安倍総理が先送りを完全に明らかにした18日には0.500%と0.046%ポイント「暴騰」した。。

金利0.046%ポイント上昇の謎を解く

 なぜ0.046%ポイントしか上昇しなかったのか。ある国の財政赤字がなぜ金利を上昇させるかと言えば、長期的に財政状況が悪化すれば国債の償還能力が疑われ、そのリスクを考慮した金利でなければ、資金を集めることができなくなるからである。すると、短期的な財政赤字よりも、長期的な財政状況が金利に影響を与えるはずである。長期的な財政状況はどの指標で判断できるかと言えば、政府債務をGDPで割ったものが適当な指標になるだろう。ここで政府債務は名目値であるから、GDPも当然名目値である。

 消費税再増税の先送りで、政府債務対GDP比率がどれだけ悪化するだろうか。以下の数字は、消費税率を除いては、現実の数字とそう異ならない概算値である。現在、政府債務は1000兆円、GDPは500兆円であるとする。

 まず、消費税を8%から10%に2%ポイント上げる場合の税収増加額は、消費税1%がGDPの0.5%分の増収をもたらすのでGDP1%分、5兆円の増収となる。しかし、消費税を上げると景気が悪くなるので、景気が悪くならないようにとGDP0.5%分2.5兆円の公共事業の積み増しが行われる(これまでの経験でそう言える)。すると、消費税増税で政府債務の改善は、2.5兆円にしかならない。

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