中島厚志が読み解く「激動の経済」

2014年12月22日

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中島厚志 (なかじま・あつし)

経済産業研究所理事長

1952年生まれ。東京都出身。東大法学部卒業後、75年日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。パリ興銀社長、日本興業銀行調査部長、みずほ総合研究所専務執行役員チーフエコノミストなどを経て現職。著書に『統計で読み解く日本経済 最強の成長戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『日本の突破口―経済停滞の原因は国民意識にあり』『世界経済連鎖する危機―「金融危機」「世界同時不況」の行方を読む』(東洋経済新報社)など。

 消費税再引き上げの1年半延期を契機として総選挙が行われたが、結果として消費税引き上げの先送りは大きな争点とはならなかった。

 確かに、景気が減速する中、さらなる景気下押しにつながりかねない消費税の連続の引き上げが難しかったことはある。実際、財政健全化と景気は両立しにくいところがある。過去20年の間にOECD各国でもっとも財政健全化が進んだ時期は、景気が相対的に下振れしている(図表1)。

【図表1】過去20年の財政赤字削減期のGDP成長率と年平均GDP成長率との差
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 しかし、消費税引き上げを景気との関連だけで判断することはできない。消費税引き上げを迫られた主因が社会保障費増大にあり、消費税が社会福祉目的税と位置付けられていることからしても、これからの日本で福祉水準と負担をどうバランスさせるかの視点を欠くことはできない。

日本は低福祉に向かっている

 日本は、OECD諸国の中でも税と社会保障負担が少ない国のひとつとなっている。図表2で明らかなように、日本の国民負担率(国民所得に対する税と社会保障負担合計の割合)はOECD33カ国中26位と相対的に低い。

【図表2】OECD諸国:国民負担率(2012年)
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 一方、福祉水準は年金制度や国民皆保険制度などが導入されていて相応に充実しており、日本はいわゆる中福祉低負担国ということになる。OECD各国の社会保障支出の対GDP比を見ても、日本の社会保障支出度合は加盟国34カ国中で14位と中位にある。

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