世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年1月8日

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 米シンクタンクAEI(American Enterprise Institute)のオースリン上席研究員が、11月27日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に「太平洋諸国の軍拡」と題する論評で、太平洋地域で軍拡競争が行われているが、それは国際紛争への危険を増やすが、安定に資することもあり得る、と論じています。

 すなわち、豪海軍は11月、最大の軍艦を就役させた。アジアでは能力の高い

 海・空軍が活動する。これは国際紛争のリスクを高めるが、同時に地域の安定にも資する。

 中国の空母遼寧(5万トン)が注目されている。完全な運用までは時間がかかるが、中国のパワーの象徴であり、マラッカ海峡や尖閣諸島のような紛争で役割を果たすだろう。地域の諸国はこれに対抗する能力を持たず、米国のみがより大きな力を持つ。

 日本はこの状況を変えようとし、2013年、「出雲」を導入した。遼寧の半分のトン数で、ヘリ搭載型ではあるが、計画中の2隻の「出雲」は、改装すれば、短期間で垂直離着型F-35を搭載できる。日本も尖閣諸島周辺にパワー・プロジェクションし得ることになる。

 豪州の空母、「キャンベラ」も公式にはヘリ搭載空母であるが、F-35を搭載するように改装されうる。日米豪の防衛協力は深まってきて、最新の航空機と艦船を使う空・海作戦は見えてきている。

 中国軍の急激な近代化がこの引き金になっている。中国は3隻またはそれ以上の空母建設を計画し、Su-33に基づく戦闘機、ステルス性のJ-31(開発中)の搭載を考えている。米軍事専門家は中国の次世代戦闘機はF-15、F-18と同等であり得ると言う。

 米中が軍事面で均衡になるには何年もかかるが、地域の米国の同盟国は、中国の優位に早く取り組むことになる。日本は、オスプレイ、グローバル・ホーク無人機、早期警戒機を買う決定をしている。日豪は潜水艦で協力し、ベトナムはロシアから潜水艦を買い、インドネシアは韓国と協力して潜水艦を建造している。日本はベトナムとフィリピンに巡視船を供与している。

 これらすべてが中国に東・南シナ海で領土主張をどうしていくか、考えさせるかもしれない。今は地域の国からの脅威はないが、先進的武器が拡散すれば、事情は変わってくる。南沙諸島、尖閣諸島での緊張に鑑みれば、対決になることがあり得る。

 楽観的に考えれば、アジア諸国は防衛力の高まりで中国の野心に対抗する自信を持ち、中国はコストを考え、路線を変更することになる。そうなれば外交や政治の出番が来る。危険な対決より交渉が良いということになる。

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