中国メディアは何を報じているか

2014年12月16日

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弓野正宏 (ゆみの・まさひろ)

早稲田大学現代中国研究所招聘研究員

1972年生まれ。北京大学大学院修士課程修了、中国社会科学院アメリカ研究所博士課程中退、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。早稲田大学現代中国研究所助手、同客員講師を経て同招聘研究員。専門は現代中国政治。中国の国防体制を中心とした論文あり。

『環球時報』2015年度総会特設サイト http://world.huanqiu.com/special/annual2015/index.html

 12月6日に開かれたシンポジウムでの過熱した議論が注目を浴びている。中国共産党機関紙『人民日報』社傘下の『環球時報』社が主催した年度総会「環球時報2015年会:大国は簡単ではない?何を焦り競争するのか」での議論だ。様々な論題の中でも白熱し、メディアの注目を浴びたのは「カラー革命:“外部勢力”と“党内汚職官僚”どちらが中国を転覆させるのか」という論争だった。会議には多くの大学教授、軍人(退役も含む)等多くの専門家が出席したが、論争は解放軍の彭光謙少将と王海運少将と中国社会主義学院の王占陽教授との間で行われた。

 日本人として外部から見ると非常に滑稽だが、本人たちは至って大真面目で議論を展開し、会議場外でも議論したようである。それだけ癇に障ったのかもしれないが、同時にこれは中国共産党政権で許される言論の自由の境界線であるボトム・ラインを示したといえるかもしれない。そこでこの論争を掲載した『観察者網』サイトの「環球時報年会での学者による誰が中国を転覆させうるかを巡る激論:外部勢力それとも党内汚職官僚?」(2014年12月7日)という記事を紹介する。

 不思議な事に当の環球時報はこの激しい論争を取り立てて取り上げておらず、淡々と発言者たちの主張を取り上げているだけだ。

軍人:「外部勢力」がカラー革命を策動

 軍のシンクタンクである軍事科学院に長年籍を置いた彭光謙少将(中国国際戦略学会高級顧問)は、「カラー革命(中国語では「顔色革命」と呼称)とは西側敵対勢力演じる“狼おばあさん“(赤ずきんちゃんのストーリーの中の)であり、既に彼女は国の門を叩いている」と危機感を露わにする。「カラー革命」とは中東や北アフリカで起きたいくつかの「革命」をまとめて指す。バラ革命(グルジア03年)、オレンジ革命(ウクライナ04年)、チューリップ革命(キルギス05年)、紫の革命(イラク05年)、ジャスミン革命(チュニジア10年)等だ。彭将軍は香港の「セントラル占拠運動」も「カラー革命」の一つであり、「西欧による中国を混乱に陥れようとする試み」とパラノイアを露わにした。

 彭将軍はネットで度々保守的な主張を繰り返してきたことで有名だが、彼によれば、西側諸国は過去数十年の長期にわたり中国でイデオロギーの浸透を図り、一定の社会的世論を形成するまでになったという。こうした試みよって一定の雰囲気を作りだし、中国の転覆を図っているというわけだ。しかし、これに対して中国が問われるのは強い信念と意思を持っているかであり、もし「思想における万里の長城があれば野犬が入り込むことはない」と思想教育とプロパガンダの意義を強調した。

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