2024年12月22日(日)

中国メディアは何を報じているか

2014年9月30日

 中国各地の指導者の異動が頻繁に行われている。こうした人事異動は「虎退治、ハエ叩き」と呼ばれる汚職の取締りと表裏一体だ。しかし、このような人事異動は誰がどう決めているのだろうか。

秘密のベールに包まれていた「中央組織部」とは?

 このほど『中国新聞週刊』誌がこれまで秘密のベールに包まれていた党幹部の人事を司る共産党中央組織部について特集を組み、その実態をレポートしていて興味深いので紹介したい。習近平政権になって力が入れられる幹部の汚職摘発では党中央紀律委員会(通称「中紀委」)が注目されるが、実はこの部門とセットで中央組織部が重要だ。

 現部長(大臣に相当)は趙楽際であり、習近平が出席する重要な会議に彼も同席する場合が少なくない。党組織の根幹を握っていることから党の宣伝部と共同で政策を施行する機会も多い。現政権が力を入れる党の「群集路線教育実践活動」でも党宣伝部とともに重要な役割を果たしている。

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【2014年9月4日『中国新聞週刊』誌ネット版(抄訳)】

『中国新聞週刊』の中央組織部特集

 中国共産党中央は2014年に党と政府幹部選抜に関する条例を新たに制定した。これは12年ぶりに制定され直したもので、古いバージョンでは「党政指導グループのメンバーは、一般的に予備幹部の中から選抜すべき」としていたのを「重点的に予備幹部を使う事」に改められた(緩和されたということだろう:筆者)。予備幹部の選抜と育成は1980年代初期には「亡党亡国」に関わる(鄧小平の言)とさえ言われた。1984年に省・部レベル(知事・大臣クラス相当:筆者)のいわゆる「第三梯隊(グループ)」と称される約1100人分の予備幹部リストが中央組織部から党中央政治局に提出された。のちに第17期(年)、第18期(年)の党中央政治局の常務委員は二人を除き全員がこのリストに載っていた。

 今日、予備幹部の重要性は1980年代のように顕著ではなく、中国共産党は人事面で新しい挑戦に直面している。人事面で規則違反、ブラックボックス操作が時々発生し、賄賂による票買収、官職売買も絶えない。習近平が強調するのは、幹部の人事制度改革を深め、人事の不正を是正し、信頼を取り戻せるようにすることだ。ではどう人を選び、使うか。中国のような一党執政制の国からすれば、これは中心的任務だ。


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