患者もつくる 医療の未来

2015年1月7日

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勝村久司 (かつむら・ひさし)

高等学校地学教諭、元厚生労働省医療安全対策検討WG委員

1961年生まれ。京都教育大学理学科卒業。高等学校地学教諭。1990年、陣痛促進剤による被害で長女を失い、医療事故や薬害などの市民運動に取り組む。厚生労働省の中央社会保険医療協議会や日本医療機能評価機構の産科医療補償制度再発防止委員会などの委員を歴任。2015年8月より群馬大学附属病院で腹腔鏡等で死亡事故が相次いだ事件の医療事故調査委員に就任。著書に『ぼくの星の王子さまへ』(幻冬舎文庫)、共著書に『どうなる!どうする?医療事故調査制度』(さいろ社)など。

 出産時に何らかの理由で重度の脳性まひになった子どもに3000万円の補償金が支払われる産科医療補償制度。2009年1月1日に開始されてから6年が過ぎ、制度の見直しが行われ、今年(2015年)1月1日から補償対象児の範囲が拡大されることになりました。

 対象範囲がどのように変更されるのか、これまでの対象者数が当初の推計値より少なくなったのはなぜか、そして、この産科医療補償制度を、母子や家族にとってより良い制度にしていくためにはどうすればよいのか、などについてお伝えしたいと思います。

対象範囲はどう変わるのか

(画像:Brian Carpenter)

 現在、分娩機関は全国で、病院1205カ所、診療所1659カ所、助産所448カ所あり、この内、5カ所の診療所を除く、ほぼ全ての分娩機関が、この産科医療補償制度に加入しています。

 そして、これまでは、補償対象になる条件が、基本的に以下のように決められていました。

(a)身体障がいの等級1、2級相当の重度の脳性まひであること。
(b)出生後6カ月未満の間に死亡していないこと。
(c)先天性や、新生児期の要因による脳性まひではないこと。
(d)出生体重が2,000g以上かつ妊娠33週以上(一般審査基準)、または、妊娠28週以上で所定の要件を満たし(個別審査基準)、出生していること。

 この内、今年の1月1日から変更になるのは、(d)の内容で、(a)~(c)は今まで通りです。

(d’)出生体重が1,400g以上かつ妊娠32週以上(一般審査基準)、または、妊娠28週以上で所定の要件を満たし(個別審査基準)、出生していること。

 つまり変更点は、まず、「一般審査」と呼ばれる、原則的に補償対象として認定される範囲の条件について、出生体重を2,000gから1,400gに、妊娠週数を33週以上から32週以上に広げたということです。そして、「個別審査」と呼ばれ、一例一例、制度の対象として認定するかどうかを詳しく審査する妊娠28週以上32週未満に生まれた子の「所定の要件」の中身を緩和したことです。

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