大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長(40)がナッツの出し方に激怒して離陸直前の自社機を引き返させた「ナッツ・リターン」事件で、韓国の財閥に対する関心が改めて高まっている。
日本でも数年前までは「オーナー主導だから意思決定が速い」などと良い面が評価されていたが、今回の事件では財閥オーナーの専横ぶりへの批判が多い。そうした変化の背景に日本での嫌韓感情の高まりがあるのは否定できないが、一方で、これを機に韓国の財閥というのは何かを考えてみるのも悪いことではないだろう。
「ナッツ・リターン」事件で注目を集めた大韓航空の趙顕娥前副社長
(写真:AP/アフロ)
(写真:AP/アフロ)
財閥依存の韓国経済
韓国経済は、財閥に依存しているといわれる。韓国経済における財閥の存在感というのは、実際にはどの程度なのだろうか。
気をつけねばならないのは、「10大財閥の売上高合計が国内総生産(GDP)の7割以上」などという比較は不適切ということだ。GDPは、企業の売上高を積み上げたものではなく、国内で生み出された付加価値の合計だ。違うものさしを並べても、比較にはならない。
ただ、財閥の存在感が非常に大きいのは事実である。財閥情報専門のネットメディア「財閥(チェボル)ドットコム」<http://www.chaebul.com>の調査結果を見ると、それは一目瞭然だ。財閥ドットコムは、サムスンや現代自動車を含む10大財閥の売上高と当期純利益が、国税庁に法人税申告をした企業約52万社の中で占める比率を集計した。ちなみに、大韓航空を擁する韓進グループは、調査時点の資産規模で財閥序列9位に入っている。