研修では大企業病を治せない
“セゾン流”を否定する無印良品

松井忠三 良品計画代表取締役会長インタビュー


Wedge編集部

WEDGE REPORT

ビジネスの現場で日々発生しているファクトを、時間軸の長い視点で深く掘り下げて、日本の本質に迫る「WEDGE REPORT」。「現象の羅列」や「安易なランキング」ではなく、個別現象の根底にある流れとは何か、問題の根本はどこにあるのかを読み解きます。

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編集部(以下、——):何が起きると会社は危険水域なのか。

 まずトップの視察に、専務とか部長とか店長が20人くらいぞろぞろお付きでつくようになると危険。お客さんではなく上を見ているわけだ。「いいサラリーマンは会社を滅ぼす」です。

社内優先・前例踏襲

「入社式なら、5年分のプログラムを持って来させます。そうすれば前例踏襲かすぐわかります」と語る松井忠三会長
(NORIYUKI INOUE)

 もう一つの特徴が前例踏襲。例えば、取締役会に、定例議題や調整済みの案件しか上がらなくなるのは、典型的な悪くなる兆候。前例踏襲が商品開発に及び、世の中の動きから遅れていく。

 大企業病は、創業して間もない会社にはない。必ずお客さまが一番大事で、余裕がなくほとんどのリソースを振り向けているからシンプル。しかし創業者スピリットはいずれ失われ、いかなる組織でも、大企業病が蔓延し始める。

─ーセゾングループも大企業病にかかっていたのか。

 もちろん。私のいた西友が属していたセゾンは、堤清二という経営者が、時代の先を見て「文化と感性」で、三流の西武百貨店を一流にし、専門店などの新業態を成功に導いたグループだった。

 しかし、セゾンは堤さんの感性への依存を強め、経験主義に陥り、科学的なオペレーションをする力が弱くなっていった。堤さんの承認を得られる企画の立案に精一杯で、計画95%・実行5%の足腰がものすごく弱い会社になった。

 他社をみればイトーヨーカドーやセブンイレブンは販促を変えれば一晩で売り場を全て変えられる実行力があった。計画1流の企業は実行力1流の企業に敵わない。

 30代半ばのとき、西友の人事で、意識改革の研修を担当した。部長以上を300人集めてハードな研修を行ったが、会社は立ち直らなかった。意識改革が先ではないことがわかった。教育研修だけでは大企業病は治せない。

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