日本の漁業は崖っぷち

2015年2月6日

»著者プロフィール
閉じる

片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社 海外担当

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『魚はどこに消えた?』(ウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 生田よしかつ(シーフードスマート代表理事)著『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』(角川学芸出版)、通称「あなホケ」が出版されました。かつては居酒屋さんでオーダーすると、それだけで腹一杯になるような、でっかいホッケがでてきたものです。しかしそれは、今は昔の話。現在では、かわいいサイズのホッケが出てくるのはなぜでしょうか? これには深い理由があるのです。言われてみると「あれっ?」と思う、皆さんが気づいていないことが、身近な魚にたくさん起こっています。

 小さくなった理由は主に3つが考えられます。(1)乱獲で魚の大きさが小さくなってしまった。(2)買負けで大型の魚が買えなくなった。(3)単価の上昇で、価格を抑えるために小さくした。

魚が大きくなる前に獲ってしまう日本

(1)乱獲で魚の大きさが小さくなってしまった

 栄養分が減った影響で、魚の大きさが変わることがあります。例えば、カラフトシシャモやサケといった産卵後に死んでしまう魚は、成熟して回遊してきたものが漁獲されます。それまでの環境の影響により個々の個体の大きさが違います。また、サンマ(寿命1~2年)のように寿命が短い魚の場合も、摂取してきた栄養分などにより大きさが変わり、今年の魚は大きかった、小さかったということになります。

ノドクロ(アカムツ)

 しかしながら、ホッケ、マグロ、サバ、そしてテニスの錦織選手の好物として有名になったノドクロ(アカムツ*写真)のように寿命が短くなく、かつ産卵後も死なない魚の場合は事情が異なります。これらの魚は、日本では大きくなる前に漁獲されるため、年々魚が小型化してしまっているケースが多いのです。

 特に成熟する前に獲ってしまえば、魚は産卵の機会さえ与えられないので、資源が減っていくことは自明です。そして、その魚が減ってくると、「何とか獲りたい」と思い、ますますたくさん獲ろうとする力が働き、さらに魚は減ってしまいます。そして最後には、余りにも減ってしまったために、禁漁や厳しい規制を設けたりするのです。

 しかしその時点では対応が遅すぎるのはいうまでもありません。ウナギ、ニシン、ハタハタや、青森県のイカナゴ(第11回)などがこれに該当し、貴重な資源をほぼ枯渇させてしまいました。レッドリストに加えられた太平洋マグロの小型化も同じケースで、漁獲の90%以上が未成魚となってしまっており、資源の悪化が続いています。

関連記事

  • PR
  • 新着記事

    »もっと見る