世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月19日

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 中国外交の独壇場だった中南米に対して、オバマが種々の外交攻勢を始めたことを、1月17-23日号の英エコノミスト誌が報じています。

 すなわち、この10年余り、中南米諸国は商品価格の上昇によって国庫が潤うと同時に、中国の支援も当てにできたが、そうした僥倖に恵まれた時代は終わった。商品価格は不景気のどん底だった2008年の水準に戻り、中国ももはや無条件で資金を出そうとはしなくなった。

 今月初め、ベネズエラのマドュロ大統領は緊急支援を頼もうと中国に飛んだが、中国は以前約束した融資を焼き直ししただけだった。

 同じ頃、北京で開かれた中南米諸国外相会議で、習国家主席は2019年までに対中南米貿易(2013年では2570億ドル)や投資を現在の倍にしたいと表明した。しかし、中国は、怠け者を助けるつもりはないことも明らかにしている。実際、中国当局はベネズエラへの融資がどう使われるか、目を光らせ始めたと言われる。

 そうした中南米に対し、オバマは、(1)キューバとの国交正常化、(2)移民制度改革、(3)麻薬取締りのトーンダウンを打ち出し、米国に対する中南米の不満の緩和に努め始めた。今月26日には、ワシントンでカリブ海諸国エネルギー・サミットも開催され、ベネズエラからの援助に代わる、多国間融資、技術支援、民間投資を推進しようとしている。

 米国は中南米で失地を回復できるだろうか。4月にパナマで開かれる米州首脳会議が試金石になるだろう。オバマは民主主義と人権問題を議題にしたい意向だが、今の中南米はそれに反対するつもりはないようだ。

 米中両国は、中南米で影響力を競っている。左寄りの政権にとって中国が提供する融資、投資、奨学金、そして内政不干渉の姿勢は魅力的だ。他方、米国の魅力は、共通の価値、そして世界最大の市場と最先端技術を提供してくれることにある。

 中国が、中南米で向かうところ敵なしだった10年が過ぎ、今、米国は競争を始めた、と報じています。

出典:Economist‘Bello : The dragon and the gringo – Latin America’s shifting geopolitics’(January 17-23, 2015, p.42)
http://www.economist.com/news/americas/21639549-latin-americas-shifting-geopolitics-dragon-and-gringo

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 興味深い、参考になる英エコノミスト誌の解説記事です。

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