世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2015年2月27日

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 フォンテイン新米国安全保障センター(CNAS)会長は、オバマ大統領のインド訪問に関し、1月26日付の米ウォール・ストリート・ジャーナル紙で、台頭する中国を念頭に、米印関係の強化は双方の利益になる、と述べています。

 すなわち、パキスタンが主要議題となったこれまでの米印首脳会談と違って、今回は中国の挑戦が主題となろう。対中政策とインド太平洋の安全保障関係の深化は、米印両国のプラスになる。

 今回のオバマの訪印は、現職米大統領として2回目の訪印となる前例のないものであり、又、米大統領がインドの共和国記念日の主賓になるのも今回が最初である。米印関係は、ここ数年、協力をなかなか強化できなかった。それゆえ、オバマとモディが価値の共有だけではなく、共通の戦略利益に基づく関係強化を打ち出したのは評価できる。

 台頭する中国による潜在的な問題を減少することは、米印の共通利益となる。双方とも中国の封じ込めを求める訳ではないが、将来の不確定さをヘッジするため、関係強化を通じて中国の力を均衡することが利益となる。

 中印間の問題は、国境紛争に限られない。インドは、中国のパキスタン、スリランカ、ネパール及びミャンマーへの接近やインド洋への軍事展開を懸念している。モディ首相が、豪州、日本、ASEANとの関係強化に動いているのは賢明だ。対米関係では、防衛装備の共同生産、合同軍事演習、南シナ海問題への連携、米印日関係の強化、米印日豪4カ国対話の再開等を進めて行くことができる。

 しかしながら、中国周辺にある国々との関係強化はインドにとってジレンマでもある。モディは経済利益が最大になるような国際関係を模索している。このことは、出来るだけ多くの国と生産的な関係を構築することを意味する。インドのこの「全方位外交」は、中国を含めた主要国との関係の緊密化を図る一方で、特定の国を排除し他の国を選択するようなことは避けるということも意味する。

 これではインドがいうグローバル・リーダシップにはならないかもしれないが、米印ともに、中国の孤立を求めるものではないとしても、海洋問題、国境問題、サイバー・セキュリティー等議論のある問題につき自己の立場を明確にすることは避けて通れない。オバマ訪印の後、インドがいつまでその諸外交課題を同時にやりくりしていくことができるか、注目される、と述べています。

出典:Richard Fontaine ‘New Delhi and Washington’s China Convergence’(Wall Street Journal, January 26, 2015)
http://www.wsj.com/articles/richard-fontaine-new-delhi-and-washingtons-china-convergence-1422294400

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 今回のオバマ大統領の訪印は、現職の米大統領として2回目の訪問となる等、前例のない重要な訪問となりました。モディ首相は、自らオバマ大統領を空港に出迎えました。インドの外交慣例からは異例のことだそうです。

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