エネルギー問題を考える

2015年3月23日

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政権が避けてきた将来の「エネルギーミックス」がまもなく提示される。つじつま合わせのために、「深掘り」される再エネと省エネが要注意だ。

 1月末、経済産業省の有識者会合で、2030年段階における日本の電源構成(エネルギーミックス)の検討がようやく始まった。舞台は、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会に置かれた「長期エネルギー需給見通し小委員会」。分科会の坂根正弘会長(コマツ相談役)が小委の委員長も兼任し、熱心に議論を進めている。

 本来、このエネルギーミックスは、14年4月に閣議決定したエネルギー基本計画の段階で明示されるはずだった。ネックになったのはもちろん原子力だ。自民党は、政権奪取時に掲げた「規制委が安全と判断した原発については再稼働」という表現を超えるスタンスを示すことはずっと避けている。選挙に際して「政治的リソースを原発には割かない」という判断があった。

 そのため基本計画における原発の書きぶりは、「重要なベースロード電源」だが、その依存度は「可能な限り低減」、ただし「確保していく規模を見極める」と、なんともわかりにくい。しかし、この曖昧戦略もいよいよ終わりにせざるを得ない。今年11月に、2020年以降のCO2削減の国際的枠組みを決めるCOP21(第21回気候変動枠組み条約締約国会合)があり、6月のサミットで、安倍首相が日本のCO2削減目標を示すとみられているからだ。そうすると5月までにはエネルギーミックスを決めなければならない。

 「統一地方選後の4月下旬には小委が選択肢の形で示すだろうから、経産省の原案は3月末から4月初めには提示されるのではないか」(関係者)

 有識者の間で共有されているエネルギーミックスの相場観は、「原子力が15~25%、再生可能エネルギーが20~30%で、原子力より再エネが多い」というものである。

 震災前の原子力依存度は発電ベースで約3割だった。これより低減させるから25%以下。現存する原発に40年運転規制を厳格にあてはめれば、30年段階で全て稼働させても15%。だから15~25%なのだが、20なり25という数字を示せば、それはとりもなおさず原発を新たに造ること=リプレース(新増設)を意味するから、政治家としては世論の反発が怖い。世論を納得させるためには、再エネをそれ以上に充実させている構えが必要というのが、この相場観の意味するところだ。

 再エネについては、民主党政権が10年6月に定めたひとつ前の基本計画が発射台になっている。この計画では、鳩山由紀夫首相が09年9月の国連演説で唐突に発表した「90年比25%減」という野心的すぎるCO2削減目標を満たすために、CO2を出さないゼロ・エミッション電源である原発と再エネについて、それぞれ50%、20%と高い目標値を掲げた。このときよりも強い再エネ推進姿勢を示すために、今回「再エネ30%」という数字が取り沙汰されているのである。

再エネ先進国と言われるドイツは褐炭が豊富で石炭火力が主力。ドイツでも再エネのために電力系統への投資が必要になってきているが進んでいない(INA FASSBENDER/REUTERS/AFLO)

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